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配偶者控除の廃止

生活費非課税の原則壊す

(10月27日付)

 政府税制調査会は所得課税の配偶者控除の廃止を含む見直しを進めています。10月末をめどに論点整理を取りまとめる予定です。

 配偶者控除は、配偶者の年収が103万円以下の場合、本人の所得のうち所得税で38万円、住民税で33万円が非課税になる制度です。年収103万円を超えても、141万円未満までは配偶者特別控除が適用され、控除額が少しずつ減っていく仕組みです。

 配偶者控除を廃止すると、最低税率(所得税5%、住民税10%)で計算しても5万2千円の増税になります。

 廃止論者は配偶者控除が女性の社会進出を阻害していると主張します。配偶者控除の限度額以下に年収を収めようとして仕事を抑えるから、というのが理由です。

 しかし、女性の働き方を阻害している根本原因は認可保育所の不足、医療・介護の崩壊など公的支援の遅れであり、男女ともに仕事と家庭の両立を妨げる以上な長時間労働、賃金・昇格差別、妊娠・出産への不利益扱いであって、税制の問題ではありません。

 配偶者控除や扶養控除は、基礎控除とともに、これ以下の所得には課税しないという「課税最低限」を構成します。国民の生活費を保障するためです。憲法25条の生存権の保障にあります。

 税制の基本は、応能負担負担(憲法14条)と生活費非課税(同25条)の原則です。基礎控除配偶者控除、扶養控除は課税最低限を構成するものですから、その合計額が生活保護法の基準を下回ることは許されません。

 生活保護法が保障する最低生活費は、都市部の夫婦子2人で月額26万2千円(生活扶助、住宅扶助、教育扶助合計、2015年4月から)、年額314万円です。

 他方、所得税課税最低限は2000年に入ってから引き下げが続き、夫婦子2人の給与所得者は、経費の概算である「給与所得控除」を含めても261万円台となります。そのうえ配偶者控除を廃止すると、課税最低限は198万円、生活保護基準の6割程度まで下がります。これは、まさに違憲状態と言わざるを得ません。