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「はだしのゲン」の声に耳を傾けて

Q&A 戦争の悲惨さに触れ、考える機会を (9月9日付) 今なぜ閲覧制限?  島根県松江市教育委員会が、故中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」の自由な閲覧の禁止を小中学校に要請していたことが分かり、全国に波紋が広がりました。制限は後に撤回されましたが、この一件から何を考えなければいけないでしょうか? 平和教育の形骸化招く  「はだしのゲン」ってそもそもどんな漫画?  第二次世界大戦末期から始まる物語で、少年ゲンが戦争や原爆投下といったさまざまな苦難に負けずに、力強く生き抜く姿が描かれている。作者自らが原爆を体験しているため、投下直後の惨状や被爆者の苦しみなどの描写はリアルだ。  そんな作品がなぜ自由に読めなくされた?  小中学校での平和学習に利用されることが多く、図書館に置く学校も多い。ところが、さきごろ松江市教育委員会は、「旧日本軍による残虐行為など、子どもたちには過激なシーンが含まれている」ことを理由に、閲覧制限を各校に要請した。  心が未成熟な子どもたちには刺激が強すぎる?  そもそも戦争は悲惨でむごたらしいものだよ。その事実を何の刺激も伴わずに子どもたちの心に刻むことは不可能だ。表面上の「過激描写」だけを切り取って、臭いものにふたをするようでは平和教育の形骸化を招くことになる。   分別がついた大人になってから「ゲン」に接してもいいんじゃない?  終戦から68年が経ち、被爆者や戦争体験者はどんどん少なくなっている。悲惨な実相の継承を途切れさせないためにも、若い世代が早くから平和や戦争について考える機会を持つのは重要なことだよ。 戦争賛美の風潮の中で  「ゲン」はあくまでフィクションだよね。事実と創作が混同しちゃう心配はない?  今回の件は、「ゲンは間違った歴史認識を植え付ける」と松江市民が市議会に陳情したことが発端だった。陳情は、「作中で示されている旧日本軍のアジア諸国での蛮行に証拠資料がない」ことなどを指摘している。  子どもたちには正しい歴史を教えないといけないよ。  一部分を取り上げて善し悪しを決めるのではなく、作品の価値を総合的に判断すべき。戦争の悲惨さを描き平和の尊さを訴えた内容は一貫しているし、その後半部で日本の加害責任を強く糾弾している。最近は安倍首相が国会で、侵略戦争の事実を認めないともとれる発言をする等、戦争賛美につながる風潮が懸念されている。そんな時だからこそ、「ゲン」の訴えに耳を傾けなくてはいけないよ。