大阪自治労連が書記長談話を発表
(8月1日付)
1.大阪市議会は7月27日、橋下市長が提案していた「政治活動規制条例」及び「労使関係条例」を維新の会及び自民党、公明党で一部修正のうえ可決・成立させた。大阪自治労連は『2つの条例』について、「大阪市の労働組合と市職員の正当な組合活動や政治活動の権利を侵害し、仮に制定された場合、職員の組合活動と政治活動を委縮させるものとなることは疑いない」(7月5日談話)と厳しく指摘し「条例案」の撤回を要求してきた。橋下市長をはじめ条例成立に手を貸した市議会勢力に断固抗議する。
2.橋下市長は、「市民に負担を求める改革をやろうと思えば、まず自分たちに厳しいルールを課していくのは当然」(7月28日付け毎日新聞)と語ったが、実際に橋下市長が行ったのは、「民営化の恐れがある」と記した大阪市従(連合・自治労)のビラに対して「信用失墜行為だ」と恫喝し組合活動を威圧したことである。つまり、労働組合が市民の側に立って主張し、運動すれば「条例抵触による処分」の判断を下す可能性があるということだ。従って「自分たちに厳しいルールを課す」というより、自治体職員と住民が共同して運動することに狙いを定め、組合活動においても市職員個人においても市長に逆らうものは処分の可能性があると恫喝しているにすぎない。
3.「政治活動規制条例」は、▽政党機関紙の発行や配布▽デモ行進の企画▽政治的目的を有する演劇の演出、主宰など10項目を禁止している。これについて「自治体職員の政治的行為を地方公務員法より広範囲に制限する大阪市の条例は憲法違反で、表現の自由も侵害している」(7月28日付け朝日新聞、大久保史郎立命館大学教授)との指摘がある。また「時間外、休日において、ツイッターあるいはブログで原発の稼働について反対あるいは賛成の意見を述べること、あるいは、原発稼働反対のデモ行進の参加の呼び掛けることさえも、禁止の対象となりかねない」(7月20日大阪弁護士会会長声明)という危険性をはらんでいる。また、労使交渉の範囲を限定し、労組と一線を画す「労使関係に関する条例」は憲法第28条で保障された「労働者の団結権」を著しく侵害するものであり、断じて認められないものである。
4.7月市議会では『2条例』のほか、住民サービスを大幅に削減する「市政改革プラン」に基づく予算や小中学校の選択制を盛り込んだ学校活性化条例も成立した。これらの条例や予算が、大阪市政と市民生活に、また市民の暮らしを支えるべき市職員の中に大きな矛盾を広げることは間違いない。大阪自治労連は、憲法と民主主義をないがしろにする今回の暴挙を許さず、自治体労働組合として広く住民と共同を広げたたかうものである。