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非正規職員の処遇改善を~地方自治法改正案国会提案へ

自治体の判断で一時金や退職金の支給可能に

(7月31日付)

 民主党総務部門会議は7月26日、地方自治体で働く臨時職員や非常勤職員の処遇改善のため、各自治体の判断で、一時金などの諸手当を支給できるようにする地方自治法改正案を了承しました。

臨時・非常勤職員にも手当支給を

 地方自治法改正案では、勤務形態が常勤職員と同等の臨時職員や非常勤職員に対し、現在は支給が認められていない一時金や退職金を支給し、週20時間以上の勤務を目途に常勤職員と同等と見なして、諸手当の支給も認めるよう規定しています。

 地方自治体の臨時職員や非常勤職員は、一般事務職員、保育士、ケースワーカーなどを中心に約50~60万人いると見られています。堺市においても、職員総数のうち、実に約40%が非正規職員となっています。

 民主党総務部門会議では、人件費を削減するために常勤職員の採用を抑え、保育士や図書館司書などにも非正規雇用が広がっている実態を問題視。後述の枚方市非常勤職員裁判のように、手当支給の判断をした自治体が違法支出だとして、住民訴訟を起こされるケースもあり、法改正が必要だと判断しました。

 改正案について、「自治体によって、臨時職員や非常勤職員の処遇にバラツキが生じるのではないか」といった異論も出されましたが、今後も雇用の安定など、臨時職員・非常勤職員の処遇の改善を検討することを確認した上で了承されました。

枚方市非常勤職員裁判

 この裁判は、2005年に枚方市住民より、枚方市非常勤職員への一時金や退職手当の支給が地方自治法などに違反し、不当な支給であるとして、市へ返還するよう提訴されたものです。

 枚方市職労では「非常勤裁判をたたかう会」を結成し、運動を進めてきました。

 大阪地裁判決では、「職務実態からして常勤職員と同等である」と認めつつも、「手当支給の具体的基準を欠き、地方自治法の規定する給与条例主義に反している」との不当な判決を下しました。

 しかし、10年の大阪高裁では、「職務実態からして常勤職員と同等である」と認めただけでなく、「常勤職員の人数が条例で定められた定数を超えることができないものとされている関係上、定数を超えてしまうことのないように、形式的に非常勤職員として採用せざるを得なかったにすぎない」と断定し、給与条例主義に関しても、「規則等に委任することが許されている」とし、地裁判決にあった敗訴部分を取り消し、返還請求も棄却するとした、非常勤職員側の全面勝訴の判決が下されました。

労働組合で待遇改善を

 堺市でも非常勤四共闘が運動を展開し、99年の大綱合意においては、実質の任用期間の撤廃を勝ち取り、また、12年の夏季闘争においても、育児休務制度の改善を勝ち取るなど、多くの成果を積み重ねてきました。

 枚方裁判の当事者の方は高裁判決後、「裁判所から1通の封筒が届き、初めは意味もわからなかった。個人なら泣き寝入りしていたと思う。皆が力を貸してくれて感激した。ここまでやってこれたのも皆のおかげです」と語られました。

 堺市職労は、今後も均等待遇の立場から、地方自治法改正案のような情勢の変化に注視しつつ、非正規職員の待遇改善に取り組んでいきます。

 ぜひ、多くの方の労働組合への加入を訴えるものです。