1月10日付
総務省は12月27日、「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会報告書」(以下、「報告書」)を公表しました。
手当支給、法改正提言
「報告書」では、任用上、処遇上の課題があり、その対応として、「①特別職非常勤職員を『専門性の高い者等(委員・顧問等)に限定』、②成績主義の特例である臨時的任用職員を国と同様に、『常勤職員(フルタイム)の代替』に限定、③一般職非常勤職員の『採用方法・服務規律等の新たな仕組み』を明確化し、労働者性の高い非常勤職員は一般職非常勤職員として任用」、そして、「一般職非常勤職員について期末手当などの手当の支給が可能な制度に見直」すよう提言を行いました。
そして、これら制度改正について、「立法的な対応か、通知等による解釈の明確化を両論併記し、可能な限り立法的な対応をめざし検討」するよう総務省に求めています。
「報告書」が、非常勤職員への手当支給を明確にする法改正を提言したことは、自治体非正規雇用労働者の勤務条件改善を求めてきたすべての労働者・労働組合の取り組みと、野党による地方自治法改正案の提出など、世論と運動の反映です。
非正規雇用温存を前提
同時に「報告書」は、政府のすすめる「働き方改革」に沿い、本来、「任期の定めのない常勤職員」(以下、「正規職員」)として任用すべき職に、安上がりの労働力として「一般職非常勤職員」を位置付けたに過ぎず、非正規雇用の濫用・温存を前提とした提言と言わざるを得ません。
また、「一般職非常勤職員制度の新たな仕組みの整備」として、任期について、これまで「原則1年」としていたものを「最長1年」としていますが、財源の裏付けがなければ、今後、新たな雇い止めが発生しかねません。さらに、提言の多くが立法措置または通知等による運用改善という形の両論併記にとどまっていますが、これまで二度の総務省通知においても、その是正が着実にすすめられてこなかったことに立脚した対応が求められます。
あわせて、制度改正を行った後、各自治体における「具体的な実施に向け2年程度の準備期間を設けることが必要」としていますが、総務省による条例整備などの支援をはじめ、地方財政が厳しいなかで、その着実な実施を保障する財源確保を図ることも求められます。
総務省はこれらの点について、労働組合からの意見に誠実に対応し、今後の検討をすすめるべきです。
自治労連として、今回の報告書での労働条件改善に結びつく点をできる限り法改正として実現させるために、「臨時・非常勤職員の労働条件改善を求める国会請願署名」を職場・地域から取り組んでいく予定です。
水準は労使交渉で決定
さらに自治体直雇用だけでなくすべての非正規労働者の雇用の安定、労働条件改善を求める運動と世論をいっそう広げる必要があります。
また、手当支給にかかる法改正が実現した場合でも、支給される給料・手当の水準等については各自治体での労使交渉によって決定されることになります。任用根拠見直しでの労働条件低下を許さない取り組みも必要となってきます。
組合への加入者を増やし、雇用継続と労働条件の改善をすすめましょう。