堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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非正規公務員制度の真の処遇改善、「法の谷間」なくし、不安定雇用の払しょくを

地公法地方自治法改正法案に対し要請(3月22日付)

総務省は、昨年末に「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会報告書」を公表し、政府は3月7日、報告書に沿った地方公務員法及び地方自治法の一部改正法案を閣議決定しました。

 しかし、この改正案については、現に職務に就いている臨時・非常勤職員の処遇改善につながらないものであるばかりか、今後の公務運営にとって重大な問題点をはらむものです。

 自治労連は、以下のとおり要請しています。

 今日、地方自治体には、臨時・非常勤職員が約64万人(16年4月総務省調べ)勤務し、住民サービスの最前線で公務運営を支えています。しかしその多くは、本来であれば正規職員が担うべき恒常的な業務に就きながらも、劣悪な賃金・労働条件とともに、正規職員に保障される身分保障と民間労働者に対する解雇規制とのいずれもから排除された「法の谷間」ともいえる極めて不安定な雇用のもとにあり、処遇の改善が強く求められていました。

 この度の改正法案は、臨時・非常勤職員のうち、「特別職非常勤」を専門的な職に、「臨時的任用職員」を正規職員の欠員対応に限定し、そのほかは「新たな一般職非常勤」である「会計年度任用職員」として任用し、基本賃金以外の諸手当を支給できるようにするものです。

 しかしながら、この改正法案について、私たち自治労連は、現に職務に就いている臨時・非常勤職員の処遇改善につながらないものであるばかりか、今後の公務運営にとって重大な問題点をはらむものと考えます。

 地方自治法改正法案にある「諸手当の支給」については、すでに最高裁判例で常勤的に勤務している職員への支給は適法とされており、改正法案は現状に法律を合わせたに過ぎません。それどころか、諸手当の支給範囲についてフルタイム勤務者と短時間勤務者を区別したために、短時間勤務者については、わずかな勤務時間の違いだけでこれまで支給されてきた手当が支給されなくなることさえ想定されます。

 さらに重大なことは、地方公務員法改正法案では、「会計年度任用職員」について、その職務や任用について厳格な条件がつけられておらず、地方自治体における今日の厳しい財政運営のもとで、正規職員から、それも短時間勤務の「会計年度任用職員」への置き換えが、いっそう進むことが危惧されます。結果として、研究会報告においても維持されるべき原則とされている「任期の定めのない常勤職員を中心とした公務運営」にも反するものと考えます。

 また、「会計年度任用職員」の任用の継続について、「再度の任用」が否定されないというだけでは、これまで同様、その雇用は法的には何ら保護されないことになります。

 こうした理由から、自治労連は、本改正法案の見直しを強く求めると共に、以下の事項について国会議員に向け要請を行います。

【要請事項】

1 地方自治体での業務遂行にあたり「任期の定めのない常勤職員を主体とする公務の運営」原則を関係法令に明記していただきたい。

2 本格的・恒常的業務ではあるが、勤務時間は短時間の職を担う「均等待遇に基づく任期の定めのない短時間一般職公務員制度」を創設していただきたい。

3 臨時・非常勤職員について、「任期の定めのない常勤職員」との均衡に基づき、賃金・手当、休暇、安全管理、福利厚生等について、職務内容に見合った処遇を確保するため、関係法令の改正及び財源の保障を行っていただきたい。

4 非常勤職員について、本来、「任期の定めのない常勤職員」が担うべき職への任用を拡大することがないよう、期限付き任用としての厳格な要件を付すこと。また、労働基準法適用事項はもとより労働契約法を準用した法的救済、権利保護の仕組みを整備いただきたい。