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国家公務員の定年延長 国会提出へ 22年度から2年毎に1歳ずつ引上げ

地方自治体の動向も注視、協議へ(2月17日付)

 国家公務員の定年引上げが通常国会に提出されます。現行の60歳から5年延長、22年度から段階引上げ等が予定されるなか、堺市など各地方自治体も同様の改定が行われるかが注目されます。

 国家公務員の定年年齢を現行の60歳から65歳に引き上げる国家公務員法などの改正案が、今国会に提出されます。賃金は60歳前の7割水準。報道などによると、2022年度(令和4年度)から2年に1歳ずつ定年年齢を引き上げて30年度(令和12年度)に65歳とする方針で、法案提出は3月ごろの予定です。 

 職員は、定年延長か再任用の短時間勤務制かを選べる仕組みとします。

定員管理にも影響

 定年年齢の引き上げに当たり、役職定年制が導入される見通し。職員は60歳に達した後、専門職などに移行します。国家公務員は定年を管理職で迎える割合が地方公務員より高いにも関わらず、管理職手当がなくなるため、新賃金は大きく減らされることになります。

 国公労連や公務労組連絡会自治労連も構成組織の一つ)はこれまで、賃金が7割に減額されることを問題視してきました。60歳前と同様の仕事をするなら、減額は「同一労働同一賃金」に反すると主張。「7割の根拠が不明確だ」として、今後もさらに追及していく考えです。

 定員との関係にも懸念を表明しています。定年年齢が引き上がれば、その分は、定員数にカウントされます。現行の定員削減計画を続けるとすれば①新たな採用人数を減らすか②定員枠にカウントされない再任用短時間勤務職員を増やすか、のいずれかを選択せざるを得なくなるといいます。定員数を増やさない限り、定年延長は絵に描いた餅になりかねません。 

 国家公務員の定年年齢問題は、人事院が18年(平成30年)に「意見の申し出」を行って以来、政府内で検討が進められましたが、19年には関連法案の提出が見送られた経緯があります。

 法改正の内容は、地方自治体や民間職場にも影響が及びます。

 民間の大企業経営者で構成される経団連の「2020経労委報告」は長期安定雇用や年功序列型賃金等の日本型雇用システムを批判し、それから転換することを主張。労働組合の、ナショナルセンターを問わず「正社員を基本に、長期にわたって技術、技能、経験を高め、労使お互いの協力の上に業務遂行を行うべき」「深刻化する人手不足についても初任給引上げ等の一時的な対策だけでなく、将来にわたり、安心・意欲・希望を持てる環境づくりが最も重要」との主張とは大きく乖離しています。

 地方自治体においても人手不足が顕在化しています。先日、堺市においても来年度採用職員の最終合格人数が発表されましたが、募集人数に満たない職種もあり、民間や他地方自治体との人材の奪い合いが深刻化。学生新卒者のみならず、中途転職者、定年退職者の再任用など、有効求人倍率が高い中で求職者の求める勤務労働条件は年々高まっています。

 高齢であっても公務員が働き続けたいと思われる職業となるのか、国会での慎重な審議が望まれます。