安心して働ける職場と市民サービス拡充につながる制度を(7月28日付)
先の通常国会で、地方公務員の定年を65歳に引き上げる法改正が行われ、今後堺でも交渉を行っていきます。安心して働き続けられる職場と市民サービス拡充につながる制度が求められます。
定年延長の背景
政府は財政難などを口実に社会保障制度を切り捨て、年金支給開始年齢を段階的に引き上げています。年金支給開始までの雇用と年金の接続を図ることなどが背景にあり、すでに民間では高年齢者雇用安定法の改正などにより65歳までの雇用義務があり、70歳までの雇用確保についても努力義務とされました。
延長は23年度から
今回の法改正で公務員の定年を、2023年4月から2年ごとに1歳ずつ引き上げ、31年度から65歳定年となります。段階的引上げ中は、定年退職が2年に1度となります。
賃金水準7割は不当
国家公務員制度では、定年引き上げ後、60歳に達した職員は、次の4月から仕事(給料格付)はそのままでも、給料は7割に減額されます。しかし、民間でそもそも減額する企業は少なく、生計費原則や職務給原則に反しています。
賃金水準見直しは全世代の課題
政府は、国家公務員定年延長にあたっての検討条項として、「60歳前後の給与水準が連続的なものとなるよう・・・定年引上げ完成の前(31年3月末まで)に所要の措置を順次講ずること」としています。つまり、60歳までの昇給カーブの見直し(全世代の賃金水準に影響が生じる検討)を求めており、定年延長を利用した賃金改悪を許してはいけません。
なお、当分の間、60歳に達した以後の退職については定年退職の扱いとなり、退職手当についても不利にならないよう特例措置(ピーク時特例)があります。
役職定年制
また、60歳に達した管理職(国家公務員は「管理職手当」の対象者)については、翌年度までに管理職以外へ降任します。降任の対象となる範囲の検証や新たな職域開発などが必要です。
定年前再任短制度
60歳以降、「定年前再任用短時間勤務制度」を希望することができます(現在の再任用制度は65歳定年完成まで暫定で存置されます)。
全年齢層の課題としてとらえて制度設計を
制度移行中は、定年退職がない年が生じますが、その間も技術・経験の継承にも影響しないよう、安定した新規採用が必要です。
また、加齢にともなう体力的事情や家族等の事情に応じた多様な働き方が選択できる制度と安心して働き続けられる職場の実現が必要です。
定年延長の詳細は今後、堺市でも条例で具体化することが必要です。23年度退職者がライフプランを検討するためには、秋季年末一時金闘争や春闘での交渉、決着が必要となります。執行部は、定年延長は全世代の課題であるとしてとらえ、労使で十分に協議し、丁寧に制度設計することを求めていきます。