堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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岩手・大槌の風 第12風

岩手県から見る世界遺産(後編)(2月20日付)

世界遺産認定前後、釜石・大槌は大きく沸きました。橋野高炉跡には広大な駐車場が整備され、インフォメーションセンター(IC)が建築されました。

 「世界遺産」効果は大きく、それまで年間数千人に過ぎなかった観光客が激増。人口減少、産業衰退の著しい地域にとって光明が見えたかのように思われました。

 しかし認定1年もした頃から一気に観光客が減少。2015年に7万人以上いた観光客はわずか2年後に1万人割れとなってしまい、反転の兆しも見られません。私もゴールデンウィークに行きましたが私の他に客はわずか3人。ICのスタッフと客の数が変わらない状況でした。

 一方県内もう一つの世界遺産、平泉は認定直後に観光客数ピークを迎え、その後減少したものの再び増加。昨年も200万人超を記録し、約130km離れた宮城県仙台空港経由でも大勢が訪れる人気スポットです。私が行った時も中尊寺に近い順から3番目までの駐車場が全て満車で遠い所を案内されました。平泉町のみならず県全体で「平泉は認定世界遺産のみならず他にも見所が多い、東北有数の観光地だ」と胸を張る一方、釜石・大槌の人でさえも「世界遺産と言っても橋野鉱山じゃあね…」と自分たちの町にある史跡に誇りを持てないでいます。

 「世界遺産に認定」は決してゴールでなく、その後にこそ真価が、明暗がはっきりする世界遺産。百舌鳥・古市はどうなるのか、岩手県の前例から期待と不安が入り交じってしまいます。