堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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岩手・大槌の風 第6風

東日本大震災の追憶③(6月26日付)

 大槌町を通る主な交通機関、道路は北の山田町から南の釜石市までを貫く国道45号線、鉄道は同じくJR山田線があるのですが、どちらも津波によって、壊滅的な状態でした。 大槌川を越える橋は流失。陸上部分も瓦礫が堆積し、歩くこともままならず…。言うまでもありませんが、港が最も被害が大きく、防潮堤は破壊され、大槌湾内の海底も、ゴミが堆積して船を接岸するなど全く不可能な状況に陥ってしまいました。

 第1話でも触れましたが、「大槌町堺市より広いのだからさすがに陸路が何本かあるはず」と思いますよね。ところが峠道はわずかに1本、最高点700mを越える土坂峠のみ。3月中旬では岩手県北上山地はまだ雪深い状況で、一般車通行止でした。

 私が現在も働いている水道事業所は、駐車場が冠水した程度で済み、設備が何とか被害を免れたものの、町全体の水道管が破裂しているため水を送ることはできず、小さなタンクをトラックに積み、何とか高台の避難所にピストン輸送するのが精一杯。電気は海手にあった電柱のほとんどが傾き、電線も断ち切られ、長期間の停電を余儀なくされてしまいました。まだ冬を抜けていない、山間部に雪が積もるなか、避難住民達は家を失い、水がわずか、暖も取れない、家族の安否もわからないという絶望から生き延びなければなりませんでした。

 その時、最も住民が心の拠り所とすべき行政、すなわち大槌町役場は、避難所より更に深刻な事態を迎えていたのです。(続く)