巨大な「一部事務組合」
(5月15日付)
特別区同士でつくる一部事務組合は、「大阪市廃止・分割」における重要な論点です。
「協定書」では、全ての特別区を構成団体とする一部事務組合(大阪特別事務組合)の設置を掲げ、共同処理される事務は下表のようにまとめられています。これを見れば通常の一部事務組合が消防やごみ処理など規模の経済性が見込まれる事業の運営に用いられることに比べ、あまりに多様な領域に用いられようとしています。
とくに、国民健康保険料や介護保険料などの分野はどの自治体も保険料の高さが課題となっていますが、もし国民健康保険料を引き下げようとしても、一部事務組合では特別区独自で判断できなくなったり、各種の公共施設の利用についても、運用規定や利用料金設定などを単独の特別区で決めることができなくなる可能性があります。
事業規模6400億円にもなると指摘される、この巨大な一部事務組合が、「大阪都」構想が強調する「ニア・イズ・ベター」には程遠い、「民意」から遠く離れた存在となるのは間違いないでしょう。
表2-1 大阪特別事務組合で共同処理される事務
①事業
・国民健康保険事業、介護保険事業、水道事業及び工業用水道事業
②システム管理
・住民情報系7システム(住民基本台帳システム等)
③施設管理
〈福祉施設〉
・情緒障がい児短期治療施設(大阪市立児童院、大阪市立弘済のぞみ園)
・母子保護施設(大阪市立愛光会館)
・保健施設(大阪市立大淀寮、大阪市立淀川寮、大阪市立湊晴寮等)
・福祉型障がい児入所施設(大阪市立敷津浦学園)
・ホームレス自立支援センター
・医療保健施設・養護老人ホーム・特別養護老人ホーム(大阪市立弘済院)
〈市民利用施設〉
・青少年野外活動施設(大阪市立信太山青少年野外活動センター)
・青少年文化創造ステーション(大阪市立青少年センター)
・児童文化会館(大阪市立こども文化センター)
・障がい者スポーツセンター(大阪市立舞洲障がい者スポーツセンター等)
・靭庭球場
・女性いきいきセンター(大阪市立男女共同参画センター中央館等)
〈その他〉
・急病診療所(中央急病診療所、都島休日救急診療所等)
・大阪市動物管理センター
・キッズプラザ大阪(運営補助)
・斎場(大阪市立北斎場、大阪市立小林斎場、大阪市立葬祭場等)
④財産管理
・「大阪市未利用地活用方針」で「処分検討地」とされた土地等の管理・処分
・オーク200事業の終了に伴い大阪市が引渡しを受けた財産の管理・処分
・大阪市の土地先行取得事業会計に属していた財産の管理・処分