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特別区は歴史的には終わりを告げつつある制度

東京都世田谷区・保坂展人区長講演(要旨)

(5月14日付)

「都」構想の特別区が東京の特別区をモデルにしているらしいというのがわかり、これは大変だと。

 特別区は現在、東京にしかありません。もとは戦時下で戦争遂行のために非常事態ということでつくられていった体制です。区長は戦後、いったんは選挙で選ぶことになったのですが、1952年に公選が廃止され、75年にようやく公選が復活したのが東京23区の区長です。世田谷は私が3代目なんです。

 数々の自治権拡充の運動なり、たたかいがあり、2000年にようやく基礎自治体という位置づけが与えられた。ですから、「特別区が素晴らしい制度だ」と聞くと、特別区の歴史を思うときに忸怩(じくじ)たる思いがあります。

 世田谷区は人口88万人。佐賀県高知県山梨県より人口は多い。 政令市でも世田谷区より人口が少ないところがたくさんある。

 ところが、首長である区長の権限は、市町村長以下の部分が歴然とあるんです。

 税収も、特別区民税、たばこ税、軽自動車税とか非常に限られている。大きな財源の固定資産税や法人住民税などが区に直接入らないんです。都がまず、いただきますよと。東京の都と区の場合、45%は都が取りますと。実はこれ、どう使ったかはわからないんです。

 例えばある地域でライブハウスや芝居小屋が連なる街づくりを誘導しようとしても、固定資産税を有利にするようなこともできないし、街づくりの初歩の初歩である用途地域ですら自分たちで決められない。

 いまの大阪市、壊すのは簡単だけど、一回壊したら、元に戻すことはできません。都市や自治体の改革は必要ですが、その方向をしっかり見定めれば、例えば大阪市の24区役所がより住民参加を拡充し、自治権をしっかりもってやっていくとか、いろんないいアイデアがきっと、大阪市のみなさんなら選択できると思います。

 私は都区制度はモデルになる制度ではなく、歴史的には終わりを告げつつある位置にある制度だと思っています。