4月24日付
「『ニア・イズ・ベター』はどこへ?」
大阪維新の会は、大阪市を廃止し4つの特別区に分割する「大阪市廃止・分割構想」について、「身近なところで施策を決定できる『ニア・イズ・ベター』が実現する」と主張していましたが、事実はどうでしょうか?
まず、そもそも特別区の財源の約6割は府からの「交付金頼み」となります。
また、特別区は市町村が担っている上下水道や消防、都市計画の権限も府に取り上げられます。
上下水道の料金等は府議会で決められることになります。大阪市の水道は早くから整備が進められてきたため、府内の市町村と比べて料金は安くなっていますが、それを維持するかどうかは府議会で決まります。(水道料金(20㎥)は、市町村平均2856円、大阪市2073円、下水道料金(20㎥)は、市町村平均2228円、大阪市1252円)
大阪市議会で議論されてきた水道民営化など経営形態をどうするかも、特別区に決定権はありません。つまり、特別区民は料金等の負担はするが決定権はない、という状況になります。
介護保険については、特別区が共同でつくる一部事務組合で行われるため、保険料も特別区で決めることはできません。 それぞれの特別区の事情を反映した介護サービスや高齢者福祉施策との連携も困難になります。 また仮に、ある特別区が介護保険を独自で担おうとしても、他の特別区の合意なしには一部事務組合の脱退はできませんし、脱退すると新たなシステム構築をする必要があり、事実上無理です。
このように、「ニア・イズ・ベター」どころか、権限・財源が吸い上げられ「肝心なことは自分で決められない自治体」が「特別区」であるといわなければなりません。(つづく)