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派遣法案に「9月施行」明記

みなし雇用規定の骨抜き急ぐ

厚生労働省が与党向けに説明

(4月21日付)

 労働者派遣法「改正」案の国会審議が5月連休明けに本格化するなかで、法案に9月1日施行を明記するなど厚生労働省は異例の力の入れようです。どうして、ここまで性急に変えようとしているのでしょうか。

 厚生労働省が急ぐ背景には、現行制度に対して違法があった場合、派遣先が派遣労働者に直接雇用を申し込んだとみなす規定が10月に施行される前に法律を変えてしまおうということだと考えられます。厚生労働省が与党向けに作成した一枚のペーパーで改めてその意図が裏付けられました。労働行政が違法派遣の合法化に手を貸しているわけで、今後、国会審議の火種となりそうです。

早期成立図るため

 改正案は、業務ごとに最大3年とされてきた規制を改め、無期雇用の場合は期間制限をなくし、有期雇用であれば人を変えるか、部署(課)を変えさえすればいつまでも受け入れられるようにします。

 法案は附則で施行日を9月1日としました。規制強化の方向だった2010年1月提案、11年1月提案の改正案では「政令で定める」としていましたが、厚労省によると、「早期成立を図るため」にあえて法案に書き込んだといいます。

 翌10月にはみなし雇用規定の施行が控えています。この規定は、裁判所が違法派遣と認めれば、派遣先と派遣労働者との間に雇用関係が成立するルールです。

 法違反で今も多くあるのが、実際は専門26業務ではないのに、期間制限を受けないようにするために同業務を偽装する行為。改正案では、「専門業務」という規制の仕方をなくすので、派遣先がこのまま派遣を利用し続けても法違反は問われなくなるという筋書きです。

 みなし雇用規定は、08年末の「年越し派遣村」を機に、違法派遣に対する派遣先の責任を追及する声が高まり、民主党政権時に創設されたものです。

業界の支援団体か

 法案審議の本格化を前にして、厚労省が与党向けに作成した、一枚のペーパーが波紋を広げています。

 標題の最上段に「現行制度のまま、労働契約申し込みみなし制度が施行されることを避けたい」との「経済界等の要望」が網掛けで強調してあります。

 本来、違法状態をなくすために指導するのが所管行政の役割。ところが、このペーパーは違法をなくすために企業を指導するのではなく、法律の方を変えようとしていると読めます。

 規制前に派遣契約が大量に打ち切られるという説明について、同日、同省をヒアリングした民主党・厚生労働部門会議の国会議員らからは「直接雇用に切り替えればいいだけ。何の問題もない。厚生労働省は業界の支援団体になったのか」との厳しい批判が相次いでいます。