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派遣法「改正」案、成立阻止のチャンス

ひろがる改悪法案の矛盾と問題点

相次ぐ閣僚の不祥事でゆらぐ安倍政権

(10月28日付)

 相次ぐ閣僚の不祥事で、労働者派遣法改正案の審議入りが大幅に遅れています。11月末の会期末までの審議日程を考えると、今臨時国会での不成立が現実味を帯びてきました。与党の強行を許さないためには、世論の一層の喚起が必要です。

 審議入りは10月28日。与党の当初の想定から2週間延びました。20日には看板だった女性閣僚のうち2人が辞任。疑惑は全く解明されないばかりか、他にも広がる勢いです。閣僚の不祥事等が相次ぐ事態は第一次安倍政権に似ています。当時も「残業代ゼロ法」など働く者を苦しめる政策をすすめようとして、そのことが致命傷に。

 労働の規制緩和に対しては、全労連や連合などすべての労働団体が強く反対し、運動が広がりを見せるなかで、労組等が22日に開催した法改悪反対の院内集会の模様はNHKなどのマスコミでも取り上げられました。

派遣法「改正」案、3つの問題点/安倍答弁のうそ八百を斬る

①「女性が輝く」に逆行

 「女性が輝く日本」を掲げ、今臨時国会では規模300人超の企業に、女性の管理職登用割合の公表、目標と計画の設定を義務付ける「女性の活躍推進法案」が提出されました。数値の義務付けを見送るなど不十分な点もありますが、企業に改善を促す仕組みを提起しています。

 ところが、一部のエリート女性に光を当てる一方で、圧倒的多数の働く女性を低賃金の不安定雇用に追い込むのが、派遣法「改正」案です。

 現行の派遣法では、企業が派遣労働者を活用できるのは専門業務を除き最大3年とされています。派遣労働は搾取や人権侵害が生じやすいため、「臨時的・一時的」な業務に限るという原則を設けていました。この制約を事実上なくし、労働者を取り替えさえすれば何年でも利用できるようにしようとしています。

 1986年の同法施行以降、特に女性のオフィス労働は次々に派遣に切り替えられました。法案が成立すると、直接雇用から派遣労働に置き換える「常用代替」の一層の広がりが懸念されます。

 妊娠を告げたら雇い止め、セクハラ被害も泣き寝入りといった事情も未だ改善されていません。派遣先との団体交渉権も未整備のままです。権利保障のない働かせ方を広げて女性が輝ける社会になるといえるでしょうか。

②働く者にメリットなし

 法案では、労働者の権利がほとんど拡充されていません。

 派遣会社には、体系的な教育訓練と相談の機会確保・援助を義務付けています。しかし、実効性を担保する仕組みは乏しく、いい加減な「教育・訓練」でお茶を濁せる内容です。

 派遣先には、正社員を募集する際、勤続1年以上の派遣労働者に周知する義務を課していますが、雇用を義務付けているわけではありません。教育訓練や福利厚生施設の利用、賃金水準についての配慮義務の新設も、派遣先は「配慮」だけで、強制力はありません。

 法律の原則をゆがめてまで派遣会社にはもうけの機会を与える一方で、労働者の権利拡充についてはお粗末さが際立っています。

③「正社員化」はでたらめ

 安倍首相は国会答弁で、「派遣労働者の正社員化を支援するもの」と述べました。あきれてものが言えません。前述の院内集会では「虚偽答弁」との批判が集中しました。

 正社員化を促すというならば、人材派遣協会などの業界団体がなぜ推進するのか。人を送り込んでもうけを得る派遣会社が、その機会を失うような法改正を進めるはずがありません。民主党政権時の改正で、違法派遣に加担した派遣先に、派遣労働者との雇用契約の成立をみなす規定を新設した際、さんざん反対していたのは人材派遣協会自民党でした。

世論盛り上げが決め手

 安倍政権は数を頼んで強行しかねず、予断を許しません。来年春の統一地方選挙を前に、大義のない派遣法改正案をごり押しすれば支持率が急落するという状況をつくり出すことが必要です。

 08年末の年越し派遣村で中心的役割を担った日本労働弁護団の棗一郎常任幹事は、「もう一押しで止められる。労働組合の潮流を超えて力を合わせよう」と呼びかけています。