堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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第12回地方自治研究全国集会感想

「公務の外部化」を考える

【本部書記次長・林田】

(10月17日付)

 自身が納税業務に携るようになった15年前、委託業務は、帳票作成やパンチだけだったように思います。現在はこれらに加え、市税納付案内や財産調査補助といった、これまでは職員が行っていた業務が委託されています。

 内部事務の担い手も、税務では再任(雇)用職員、任期付短時間勤務職員、短期臨時職員、そして間接雇用の派遣職員と、多様化してきました。

 「行革(目先のコスト削減)」という観点からの職員数削減政策や市税事務所の統合を考えると、今後は、さらに業務の外部化が拡大するのではないかと思われます。

 もちろん委託でいえば、あらゆる業務を常勤職員で行うことは、専門性や効率性からみて適切ではないと考えます。また、地方公務員法や労働法にも、任期の定めのない常勤職員以外の雇用形態が定められています。

 しかし、委託の際には往々にして、財政面からの経費削減や価格競争が起き、事業者の利益確保と相まって、民間事業者の担い手の処遇が保障されない問題や公共性・サービス水準・安全性・継続性の確保、個人情報保護、偽装請負といった問題も、軽視されてはならないと思うのですが、どちらかと言えば、経費削減が最優先されているように思えます。

 こうした公務の外部化がひろがろうとしているもと、一職員としては組織の方向性があるなか、公共の役割やあるべき公務の姿について、研究者や全国事例の報告、それらを元にした討論で、認識を深められればと、滋賀県での当集会に参加させていただきました。

 城塚弁護士は、国民の多くが公務の市場化に関心がないように見える理由を6点挙げ、その一つとして「労働者が人件費節減は当たり前という経営者的発想にたち、民間化を受け入れる心情がある」と指摘しました。

 現場にいて否めない気持ちと同時に、対抗策である住民へのアプローチの一つとして挙げた「共に活動するなかでの共感の獲得」という中に、道のりは遠くともめざす方向が示されているように思えました。

 現地で隣合わせた青年部常任委員と意見交換もでき、たっぷりと知の栄養補給のできる研究集会に、次は多くの若手と参加し議論を深めたいです。