国民世論と向き合い、真摯な議論を!
(10月2日付)
第二次安倍改造内閣の発足以来初めての国会となる第187臨時国会が29日召集され、安倍首相が所信表明演説をおこないました。
消費の落ち込みと消費税問題には言及なし
ほとんどの国民は安倍政権の経済政策=アベノミクスを実感するどころか、今年4月から8%に引き上げられた消費税の打撃をひしひしと感じながら日々の生活を送っています。
この日の所信表明演説では、実質賃金が上がらず、景気が4月の消費税増税で腰折れしている現状に目を向けることなく、年内に判断するとされている来年10月の消費税10%への再増税については全く言及せず、「慎重に目配りすることが必要だ」と述べるにとどまりました。
「地方創生」自助努力と精神論で解決するのか?
また、首相は演説の中で「人口減少や超高齢化など、地方が直面する構造的な課題は深刻」であるとしながらも、地方の問題を根本から改善する姿勢を見せませんでした。看板政策の「地方創生」で強調されたのは、観光や、産品の販路拡大や、「特区制度を活用して規制を緩和する」といったような外的投資の呼びかけだけであり、危機に瀕している地域経済や、住民生活に目を向ける内容ではありませんでした。
堺市職労「未来づくりサロン」の第1回で事例報告がおこなわれ、11月末には市職労で視察をおこなう予定の島根県海士町(あまちょう)も「地方創生」の事例として所信表明演説に引用されました。 首相は海士町のさざえカレーといった地域産業の成功例を挙げ「やればできる」と強調。「大きな都市をまねるのではなく、個性を最大限にいかしていく発想の転換が必要だ」と述べ、地方に創意工夫を呼びかけました。確かに地域住民の意欲や、地方の特性を活かした創意工夫は 地域のまちづくりにとって重要です。
しかし、地域のまちづくりは、政府が社会保障や福祉など地方が直面している構造的な問題に真摯に取り組み、それを下支えしてこそ、花開くことができるのです。国民生活を支える「梯子」を外しておいて、「やればできる」の精神論では、地方は疲弊するばかりです。
根拠なき「安全性」・原発再稼働を言及
原発の問題でも「一日も早い福島の再生を成し遂げる」とする一方で、福島第一原発事故の反省は語らず、深刻化する汚染水問題には沈黙。「原子力規制委員会により求められる安全性が確保された原発は、その科学的・技術的な判断を尊重し、再稼働を進めます」として、原発ゼロを願う国民世論に背を向けました。
議論なしで既成事実化・集団的自衛権行使問題
通常国会閉会中の7月1日に閣議決定された集団的自衛権行使容認は、世論調査でも行使容認反対が6割を超える問題にもかかわらず、今まで7月半ばに衆参両院の予算委員会で1日ずつ閉会中審査がなされただけで、本会議での説明や審査はおこなわれていません。
ところが、今回の所信表明演説では丁寧な説明もなく「法制の整備に向け準備を進めている」と述べるのみ。閣議決定当時の「今後もていねいに説明し、理解を得る努力を続ける」という表明を反故にするかのような姿勢です。
このように、国民世論にまともに向き合わず、内容のない「キレイな言葉」だけで論点をすりかえる安倍首相。私たちの未来がかかる大問題をこのような姿勢の政府に任せることはできません。国民の声を大きく国会に届けましょう!