デング熱対策など公衆衛生研究所の役割を再認識
(9月16日付)
府立公衆衛生研究所(公衛研)の府立存続と発展をめざす会は7日、国労大阪会館で、大阪自治労連公衆衛生部会と共催で「どうなる?府民の健康・食の安全・環境・・暮らしにひそむ危機から公衆衛生研究所問題を考える」と題したシンポジウムを開催、91人の参加で成功しました。
関西大学の高鳥毛敏雄教授(公衆衛生学)が「公衆衛生の現状と課題」と題して基調講演し、イギリスが公衆衛生を軽視した失敗からどのように建て直したかを詳解、いまは検査分析・研究センター(日本の衛生研究所)が直営で整備されていると述べ、日本がそれとは逆に公衆衛生体制(保健所と衛生研究所など)を弱体化させていると、国民の健康保護体制の危機を告発しました。
また産業医科大学の熊谷信二教授(公衛研OB)が「公立試験研究機関の役割~胆管がん事件から考える」と題して記念講演し、印刷会社で発生した胆管がん事件の経緯を詳解しながら、現時点では隠れて見えない健康被害を発見し、今後、問題になりそうなリスク因子を予測して対応を準備することは、採算性では考えられない公立試験研究機関の大きな役割と強調しました。
パネルディスカッションでは全大阪消費者団体連絡会事務局長の飯田秀男さんが「食の監視指導・検査体制はどうなっているか」について発言。公衛研主任研究員の左近直美さんはいま広がっているデング熱を例に取り上げ、感染症対策など日常的に調査分析、研究している衛生研究所の役割を明らかにしました。
会場からも質問や意見があいつぎ、活発な議論を通じて、府民の健康を守る公衆衛生体制強化の必要性をあらためて認識し、公衛研の独立行政法人化を阻止し充実をはかるため、引き続き運動を広げようと確認しました。