堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

堺市職労(堺市職員労働組合)ブログです。

第56回自治体学校が東北で初めて開催

被災地から学ぶホンモノの地方自治

―私たちの震災復興-テーマに

(8月4日付)

 7月26~28日、第56回自治体学校が仙台市で開催されました。「被災地で学ぶホンモノの地方自治―私たちの震災復興」をテーマに、初の東北での開催となり、3日間で延べ3000人が参加、堺市職労からも6人が学びました。

 初日の全体会では、学校長の八幡一秀・中央大学教授が開校あいさつ。「日本は『災害の時代』に入ったと言われている。災害に対応するための持続可能な国土と地域社会をつくることが求められる」、「ホンモノの震災復興には、基礎的自治体を中心にした「人間の復興」に取り組むことこそ大事」、「参加者の皆さんも『みんなが先生、みんなが生徒』の気持ちで学校を盛り上げよう」と参加者に呼びかけました。

 杉原泰雄・一橋大学名誉教授が「日本国憲法地方自治ーこの『多重危機』のなかで考える」と題して記念講演。「日本では明治期以降、資本主義発展に地方の資源や労働力を利用する中央集権により地方自治が軽視されてきた」、「戦後は各地域の産業や文化の発展こそが豊かさにつながる考えから、日本国憲法において地方自治が求められてきた」、「地方財政が政府のしばりを受けて、自治体の特色を生かした事業ができないことが問題。地方税財政の拡充が必要」と指摘しました。

被災地からのリレートーク

 福島県浪江町馬場有町長は、「国や東電から情報がないなかでの原発事故からの全町避難は苦難の連続だった」、「住民の幸福追求権・生存権・財産権は現在も剥奪されたまま。憲法で保障された基本的人権を回復することが行政の責務」、「原発再稼働なんてとんでもない。事故原因の究明も検証もできていない。二度と原発事故を起こしてはならない」と強調しました。 堺市からも職員派遣をこの間行ってきた、岩手県大槌町からは、保健師・岩間純子さんが報告。「当日行動を共にしていた同僚3人が震災の犠牲となるなか、無力感に襲われながらも自治体労働者として不眠不休で住民の不安に向き合ってきた」、「現在も継続的にメンタルケアを受けており、他にも長期休暇や退職者も。また職員定数の削減をすすめていたことで震災時の人手不足に拍車をかけた」、「全国から560人もの先輩保健師の支援を受けた。また保健師は地域で育てられることをこの間実感。また仲間の支えがあったからこそ今の自分がある」と語りました。 

 河北新報社宮城県)の小島直広デスクは、震災直後からの膨大な取材経験をもとに、「日常を失わない」ために、「今すぐ備えを」と呼びかけました。

 2日目は、15の講座・分科会に分かれ、精鋭の研究者や専門家を助言者・講師に招いて大いに学び、また全国からの経験交流も活発に行われました。

原発事故に怒りと決意

 最終日の全体会では、「福島第一原発の汚染水問題の現状」と題して、柴崎直明・福島大学教授が講演。地下水や地質学が専門の柴崎教授は、そもそもの同原発の立地上の地盤問題をはじめ、現在東電が計画している汚染水を減らす「地下水バイパス」の効果の疑義について指摘。また、東電は原発敷地内のことしか考えておらず、東電の発表するデータのみでは監視不足であり、自治体による独自の監視と定期的な観測が必要、と強調しました。

最後に松繁美和実行委員長が「復興の取り組みに参加者は心を打たれ、原発事故に怒りと決意を新たにした」とあいさつし、自治体学校は閉校しました。