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安倍首相、労働法制改悪案検討を指示

労働者保護後退の「残業代ゼロ」「過労死促進」解雇規制緩和は認められない

(5月8日付)

  経済財政諮問会議産業競争力会議合同会議の労働法制論議にかかわっての、全国労働組合総連合事務局長談話の概要をお知らせします。

 4月22日開催の「第4回経済財政諮問会議産業競争力会議合同会議」で、産業競争力会議の長谷川閑史経済同友会代表幹事の提案を受け、安倍晋三首相は「労働時間規制の多様化を図る必要がある」として、「時間ではなく成果で評価される働き方にふさわしい、新たな労働時間制度の仕組み」(新たな労働時間制度の創設)と「労働紛争の解決を促す客観的で透明性の高い仕組み」(予見可能性の高い紛争解決システムの構築)について検討を指示したと伝えられています。

「残業代ゼロ」「過労死促進」制度

 「新たな労働時間制度の創設」は、第一次安倍内閣時、広範な労働者・国民から「残業代ゼロ法案」と批判され断念に追い込まれた「ホワイトカラー・エグゼンプション」の焼き直しです。

 これらは、憲法第27条に基づく労働基準法が定める8時間労働の原則や、解雇規制原則を踏みにじる労働者保護軽視の動きです。同時に、長時間過密労働でいのちを削り、心と体の健康を損なう労働者が後を絶たない現状や、「ロックアウト解雇」など労働者を使い捨てることに痛みを感じない企業の増加など、労働者市場の現実を全く無視しています。

 長谷川氏の提案では、「本人の希望選択」「年収要件」「労使合意」「労基署への届出」等を「制約要件」としていますが、労働者と使用者の力関係が著しくアンバランスになっている現代日本の企業社会では、有効な歯止めとはなり得ません。ただ働き、長時間過密労働を「合法化」し、過労死・過労自殺を頻発させる“残業代ゼロ制度”“過労死促進制度”となる危険性が極めて高い提案です。

 安倍首相は「新たな労働時間制度の創設」などの検討指示を撤回し、雇用の安定と質の向上など、「労働者の働かせ方」の改善を企業にこそ求めるべきです。

究極の解雇の自由化

 また、「予見可能性の高い紛争解決システムの構築」として「日本の実情に応じた金銭解決システムの創設」を求めていますが、裁判で違法無効とされた解雇について、使用者が一定の金銭を払えば解雇できる「解雇金銭解決制度」は、“究極の解雇の自由化”であり、労働者や労働組合の権利の全面的な否定です。

労働者保護後退の「残業代ゼロ」、解雇規制緩和は認められない

 安倍内閣は、このような「新たな労働時間制度の創設」や「日本の実情に応じた金銭解決システムの創設」を、6月にまとめる「成長戦略」や「規制改革実施計画」に取り入れ、厚生労働省労働政策審議会に結論をおしつけようとしていますが、労働者の声を聞かない労働政策の決定という手法は、日本も批准しているILO144号条約で求められる「政府、使用者、労働者の代表による協議」(労働基準にかかわる三者構成主義)に明確に違反し、民主的手続を欠いています。

 経済政策を論議する場で、労働者の代表参加やその意見反映を排除して労働者保護改悪を論議し、強行する手法は即刻改めるよう強く求めます。