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残業代ゼロ法案可決成立ねらう安倍政権

労働時間上限規制こそ必要

法案反対の声を広げよう(10月12日付)

現在開会中の臨時国会において、安倍首相は残業代ゼロ法の可決成立を狙っています。その問題点を考えます。

働き方改革の一方で

 安倍首相は、長時間労働の是正や非正規労働者の待遇改善などを目指す政府の「働き方改革実現会議」の初会合(9月27日)において、「働き方改革構造改革の柱となる改革だ」と強調しました。 労働者が健康をそこない「過労死」するような異常な長時間労働の是正は、最優先で取り組むべき課題です。

労働時間概念なくなる

 しかし、現在開会中の臨時国会で、安倍政権が成立を狙っているのは、「残業代ゼロ」法案(高度プロフェッショナル制度)です。

 「残業代ゼロ」法案は、労働基準法を改悪し、労働時間規制が一切適用されない「高度プロフェッショナル」という労働制度をつくります。

 これは、管理職になる一歩手前の「高度専門職」(年収1075万円以上)が対象です。 「時間ではなく成果で評価する制度」と安倍首相が強調しているように、労働時間概念がなくなり、残業代も、深夜・休日出勤手当も出ない無制限の労働となります。「高度専門職」について、経営者は、労働時間の管理責任がなくなります。仮に、労働者が山のような仕事をかかえて長時間働いて体を壊したり、「過労死」しても自己責任とされかねません。「残業代ゼロ・過労死促進法案」と批判されるゆえんです。

対象者拡大を狙う

 しかも、この制度創設を推進してきた経団連榊原定征会長は、今後、職務要件も年収も引き下げ、労働者の10%に広く適用することを主張しています。

 管理職の一歩手前の専門職といえば、30~40歳代の中心的な働き手であり、最も長時間働いている層です。政府の「過労死」労災の状況をみると、精神疾患の申請・認定が最も多いのが40~49歳層で31%、その次が30~39歳層の29%です。

 労働時間規制が強く求められている世代を規制の対象外にして、際限ない労働に追いやる「残業代ゼロ」法案を推進することは許されません。

裁量労働制の拡大

 また法案には、併せて企画業務型裁量労働制の適用業務を緩和し、営業職などに広げる改悪も盛り込まれています。裁量労働制は、労使が合意した時間を労働時間と「みなす」制度です。合意が8時間であれば、10時間働いても2時間分の残業代は出ません。仕事の裁量がない営業職への導入により、適用者があいまいとなり、ノルマ達成のための長時間労働に追いやられる労働者の激増が懸念されています。

反対の声を広げよう

 この法案は、国民の強い反対で、昨年と今年の通常国会で、継続審議となっています。反対世論と運動の力で何としても廃案に追い込むことが必要です。

「上限規制」こそ必要

 日本の労働時間が異常に長いのは、労働基準法36条にもとづく労使協定(「三六(サブロク)協定」)を結べば、青天井の残業が可能な仕組みになっているためです。大臣告示で年間残業は360時間以内とされていますが、法的な拘束力がないうえ、突発的な事情を見越してさらに延長できる「特別条項」があって、無制限残業を可能にしています。

 安倍政権は「働き方改革」でこの「三六協定」のあり方を見直すとしています。

 そうであるなら「残業代ゼロ」法案を撤回し、「三六協定」に上限を設ける新しい労働基準法改正案をこそ提出すべきです。