堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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安倍政権の残業規制 残業月60時間を容認?

真の働き方改革には、実効ある

規制と残業代ゼロ法案撤回こそ(1月31日付)

安倍政権は「働き方改革」を目玉政策として掲げていますが、現在検討されている残業時間の上限規制はきわめて不十分であり、インターバル規制等の実効ある規制が必要との世論を広げましょう。

月平均60時間を検討?

 安倍政権が長時間労働の是正などをめざす「働き方改革」で、新たに導入する残業時間の上限規制について、年間で月平均60時間(年間計720時間)、繁忙期は最大で月100時間(2か月連続で長時間働く場合は、平均80時間)まで認める方向で最終調整に入ったと報道されています。

 2月1日に開く働き方改革実現会議で議論を本格化し、3月までにまとめる「働き方改革」の実行計画に盛り込み、労働基準法改正案を年内に国会に提出する方針です。

現在の残業は「青天井」

 労働基準法に定められる法定の労働時間は1日8時間、週40時間ですが、同法第36条に基づく労使協定(サブロク協定)を結ぶと月45時間、年間360時間まで残業が可能になるうえ、さらに特別条項を付ければ最大6か月まで無制限で残業させることが可能になるため、使用者は実質的には青天井で残業させることが可能です。 

電通の教訓活かされず

 今回の規制内容は、いわゆる「過労死ライン」とよばれる月80時間を超える残業を求める内容となっています。報道では、「特定の期間に仕事が集中する企業もあることから、経営実態に配慮した」とされています。

 また、対象業種についても、長時間労働が蔓延する運送業や建設業では猶予期間を設定。研究開発は、健康を確保する措置を講じ、引き続き対象外とする見込みです。多くの抜け穴をつくるものであり、実効性が疑われます。

 昨年、15年12月に過労自殺した電通女性新入社員の労災が認定されたことが大きく報道されましたが、今回の見直しが、労働者の健康よりも「経営実態に配慮した」ものにとどまるのであれば、教訓は全く活かされていないと言わざるを得ません。

残業代ゼロは撤回を

 また、安倍政権は同時に「残業代ゼロ」法案を国会上程し、成立を狙っています。

 法案は、高度専門職で一定の収入(年収1075万円以上)がある者の残業代をゼロにする高度プロフェッショナル制度の導入や、裁量労働制適用職種の大幅拡大(課題解決型提案営業などを追加)を内容としており、残業規制の対象外となる労働者を大幅に増やす内容です。

 安倍首相は「長時間労働の是正に取り組む」と繰り返しながらも、「残業代ゼロ」法案の撤回を求める声には、「残業代ゼロ」は「レッテル張り」だなどと撤回を拒んでいます。

野党案:インターバル規制等を提案 

 これに対し、野党4党も、労働基準法改正案(長時間労働規制法案)を、衆院に共同で提出しています。法案は、▽青天井の残業時間に法的上限規制を設ける、▽次の勤務時間まで一定の休息時間を設ける「インターバル規制」を新たに導入する、▽事前に決めた時間分しか賃金を払わない裁量労働制について、会社にいた時間や社外で働いた時間を使用者が把握・記録し、省令が定める時間を超えないよう義務付ける、ことなどを盛り込んでいます。

 残業規制は大きな社会問題となり、注目されていますが、安倍政権の取組みは、きわめて不十分であるばかりか、残業代ゼロなど改悪の内容すら含んでいます。

 春闘期、堺市職労も全国の労働組合と連携して実効ある残業規制を求めるとともに、残業代ゼロ法案の撤回を求めて運動をすすめます。