全国から大きな関心
政策と主張を真摯にぶつけあい
(9月18日付)
堺市長選は15日告示され、無所属で現職の竹山修身氏と、諸派の新人、前堺市議の西林克敏氏が立候補を届け出ました。
堺市長選挙は、「大阪都」構想の是非をはじめ、これからの堺と大阪、日本の政治の行方をも占うものとして、堺市民のみならず、全国からも大きな関心が寄せられています。
それだけにこの市長選挙では、お互いがみずからの政策と主張を真摯にぶつけあい、有権者の審判をあおぐことが求められます。
「大阪都」構想とは
今回の市長選挙で問われている最大の問題は、「大阪都」構想による堺市廃止・解体の是非です。大阪都構想の根拠法である、大都市地域における特別区の設置に関する法律では、その目的として、「この法律は、道府県の区域内において関係市町村を廃止し・・地域の実情に応じた大都市制度の特例を設けることを目的とする」(第1条)としています。大阪都構想を推進する過程において、関係市である堺市と大阪市を廃止して、特別区を設置することとなります。堺市は政令指定都市となって8年目ですが、その財源や、権限が大きく変動することとなります。
現在、国政での態度や政党支持の違いをこえ、「大阪都」構想の一点で幅広い市民の共同が広がっています。
最近の世論調査(8日付読売)でも「統合再編の対象に堺市を含めることに6割の市民が否定的」と報道されています。
財源はどうなるの?
堺市職労も参加する住みよい堺市をつくる会が行った「市民アンケート」(1490人)では、堺市政に望む政策として、公共料金値下げ(20%)、医療(19%)、福祉(16%)、教育・子育て支援(9%)が上位に挙げられ、逆に大型公共事業は1%とわずかな支持にとどまっています。
厳しい市民生活を背景に、身近な行政の拡充を求める声が大きくなっています。
大阪都構想になれば、現在の堺市の税収(1324億円・08年度決算)から固定資産税・法人市民税・特別土地保有税など443億円、約3分の1の税収が「大阪都」に吸い上げられます(東京都モデルの場合)。
それに加えて、堺市独自の収入である地方交付税もいったん「大阪都」の収入になり、それがどう配分されるかは全く不明確です。
これだけ堺市の財源を大阪都に奪われてしまっては、現在の行政サービスを向上させるどころか、維持することも困難になってしまうと考えられます。
権限はどうなるの?
政令指定都市になって、福祉、教育、街づくりなどの重要な権限が大阪府から堺市に移譲されました。
しかし、大阪都になると、これらの権限だけでなく、政令市になる以前から堺市が担ってきた上下水道事業や消防関連なども含め大阪都が行うこととなります。
また、堺市全体ですすめてきた福祉、医療、保育、中小企業対策など多くの市民サービスも、2~3の特別区に分割されると、区の財政状況(区ごとに格差ができる)や区長や区議会の意向で低下するおそれがあります。
選挙戦でも、引き続き活発な論議が求められています。