堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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「ブラック企業特区だ」と批判の声

橋下大阪市長のチャレンジ特区案

(9月18日付)

 橋下大阪市長は9月11日、労働時間の上限や解雇の規制を取り払う「チャレンジ特区」案を、大阪市大阪府が共同で提案すると発表しました。労働者は際限のない長時間労働を強いられ、いつでも企業の都合で解雇されるため、「ブラック企業特区だ」と批判の声が上がっています。

 大阪市によると、大阪市のビジネス街・御堂筋エリアに進出する企業に対し、年収1千万円以上の高収入を得られる労働者には、労基法が定める週40時間の労働時間規制を緩和したり、企業が解雇しやすくします。営業や企画の分野で高い能力を発揮する人や、専門的な技術を持ったエンジニアやデザイナー、為替トレーダーなど、高度で特殊な能力を持ち、「法規制にとらわれずに思い切り働きたい」という労働者を想定している一方で、「劣悪な労働条件で働くケースが出ないような対策も必要」としています。

 橋下氏は会見で「労働者を守る法制度は必要だが、能力主義・競争主義を前面に掲げてやっていきたいという人もいるはず」などとうそぶきましたが、ツイッターでは「ブラック企業特区だ」「大阪市ブラック企業を応援するのか」など批判の声が上がっています。

 同案は、安倍内閣自治体や民間企業から募集している、地域限定で大胆な規制改革や税制の優遇措置などの規制緩和を行う「国家戦略特区」案に応えたもので、提案書には「日本が世界で一番ビジネスをしやすい国にする」と、安倍内閣の「成長戦略」と同じ言葉で大企業支援を表明しています。

 労働法制は、最低限のルールとしてすべての労働者に適用されるものであり、ある地域の労働者に適用しないなど許されず、労働法制のイロハもわきまえない暴論・暴挙であり、労働に関する法律や政策は政労使で検討するという、ILO(国際労働機関)の三者構成主義の原則を踏みにじりかねないものです。

 同案について、熊沢誠・甲南大名誉教授は、「どんな業種であろうが、労基法は本人の同意とは関係なく守られるべきもので、先進国では聞いたことがない話。何のために労基法があるのか考えた方がいい。経済優先で労働を語ってはいけない。明らかに不当だ」と語っています。