堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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「年金払い退職給付」とは

2015年10月、共済年金と厚生年金が統合

若年層の老後の生活設計に大きく影響

(8月1日付)

 私たちの共済年金は2015年(平成27年)の10月に厚生年金に統合されますが、その時点で年金の職域部分に替わり「年金払い退職給付」制度が設けられることになります。年金の職域部分はこの時点でなくなるわけではなく、新たな制度と約40年強の経過措置の間、併存することになります(下表参照)。若年層にとっては新たな「年金払い退職給付」の方がウエートが高くなるだけに、その内容について関心を持って臨むことが大事です。

昨年11月に公布された国家公務員の退職手当法の改正に伴う主な見直しは次の三点です。

(1)退職手当を、3年間で平均402・6万円引き下げる。(堺市でも今年7月から実施)

(2)早期退職のインセンティブ拡大「勤続20年以上で45歳(定年前15年)以上、1年3%割増」(施行日は「公布日から1年以内の政令で定める日」で現時点では未定)

(3)退職金と年金(事業主分)とを合わせた退職給付の官民均衡を図るため、(1)に加えて、現在の共済年金の職域部分を廃止、新たに「年金払い退職給付」を創設。

 (2)の動向は不透明ですが、(1)による退職手当の引き下げは今年度から実施されており、私たちの退職後の生活設計に大きな影響を与えています。

 そのうえで、さらに大きな影響を与えることになるのが、(3)の共済年金の3階部分である職域部分の廃止と年金払い退職給付です。

 退職手当は退職時に一時的に支払われるものですが、退職共済年金(2015年10月からは厚生年金)は、毎年2ケ月に一回支払われるもので、まさに老後の生活の柱となるものです。

私たちの年金のうち、職域部分はモデル年金(標準報酬月額36万円、40年加入)で現在月額約2万円ですが、これに替わる年金払い退職給付は、同様のモデルで月額約1・8万円と想定されています。

 2015年10月からの厚生年金との統合時点で、職域部分が廃止、年金払い退職給付が創設されることになりますが、職域部分はこの時点でまったくなくなるわけではなく、統合時点で在職している職員がいなくなるまで、約40年程度は存続されることになります。つまり、2015年9月時点で公務員であった

職員については、退職後に支払われる共済(厚生)年金は「職域部分」と「年金払い退職給付」の両方が加入期間割合に応じて基礎年金(1階部分)、共済(厚生)年金(2階=報酬比例部分)に上乗せされて支払われることになるのです。

 ただし、年金払い退職給付は、現役時代の報酬の一定割合ということで給付水準が決まっている職域部分とは異なり労使折半で上限15‰の保険料を徴収し、国債利回り等に連動する形の積立方式によって給付水準が決められることから、運用の成否に左右されます。

現在、20代、30代の職員にとっては、退職後の年金に占める「年金払い退職給付」のウエートが必然的に高くなるだけに、その運用も含めて関心をもって臨むことが必要でしょう。

 官民の退職給付について、人事院は5年毎に調査を行うとしており、これまで平成18年、23年に調査を実施し、23年の数字に基づき大幅な引き下げを勧告してきたものです。

 次回は28年調査の結果が29年人勧に反映される予定ですが、現在の政府による社会保障費削減、公務員バッシングの流れが続く限り、私たち公務員の老後の生活設計はいっそう厳しいものとなりそうです。