9月30日付
人事院は、国家公務員の退職給付見直しの検討材料とするため、民間企業が支給する退職一時金や企業年金の水準を調査する。
早ければ
2016年度末公表
結果は早ければ2016年度末に公表する。公務員の退職給付の水準は民間並みに合わせることを原則としている。結果を受け政府は、退職手当の引き上げや引き下げなどの見直しを行う方針。国家公務員について給付水準を見直す場合、地方公務員にも影響を及ぼす可能性がある。
国家公務員の退職給付には、企業の退職一時金に相当する退職手当と、企業年金に当たる年金払い退職給付が含まれる。政府は14年の閣議決定で、官民の退職給付に差が生じている場合、おおむね5年ごとに公務員の退職手当を上げ下げしてそろえることを基本方針として定めた。
今回の調査は10月1日から11月30日の日程で実施。全国の常勤従業員が50人以上の企業約7400社を対象に、15年度中に退職した勤続年数20年以上の従業員の支給額のほか、定年制度や早期退職制度の有無などを調べる。退職給付は、勤続年数や退職理由が同じ国家公務員と従業員を比べる「ラスパイレス比較」により、官民の差を計算する。
前回は
5年前に調査
退職手当の基本額は退職時の俸給月額に勤続年数・退職理由で決まる支給率、官民比較で決めた調整率を乗じて算出する。前回の11年調査では民間の退職給付が2547万7000円だったのに対し、国家公務員が2950万3000円と約400万円上回った。これを受け、政府は国家公務員の退職手当の調整率を下げることで減額した。
改定の場合
地方公務員も影響
景気が回復基調にある一方で、厚生年金基金の解散など民間企業の年金制度は過渡期にある。このため、民間の退職給付の動向は不透明だ。手当額の改定には、国家公務員退職手当法の改正を伴う。地方公務員の退職手当は国家公務員に準じて決めるため、改定された場合には影響が出る可能性がある。