堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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まずは「時給1000円」~人間らしく暮らせる最低賃金へ

中央最低賃金審議会はじまる

(7月8日付)

 賃金の最低ラインを定める地域別最低賃金の今年度の改定審議が7月、スタートしました。

 東日本大震災で足踏みした大幅引き上げへの流れを、再び強める好機。人間らしく暮らせる最低賃金の実現へ、まずは「時給1000円」への確かな道筋をつけることが必要です。

年収わずか130万円

 最低賃金は賃金の下限を定め底支えする制度です。47都道府県の平均額は749円。最も低い島根や高知は652円で、この時給で年間2000時間働いても収入は130万円に過ぎません。これではとても暮らしていけず、多くがダブルワーク、トリプルワークしているのが現状です。

 田村憲久厚生労働大臣は7月2日、改定額の目安を話し合う中央最低賃金審議会で、最賃の引き上げに努めるとした安倍政権の成長戦略を説明し、「すべての所得層で所得の向上感を得られるよう審議をお願いしたい」と引き上げを要請しました。

 大幅引き上げへの弾みとなる好機ですが、参院選前の1年限りの人気取りに終わらせてはなりません。

デフレ脱却への早道

 そのためにも、中期目標を定め、着実に到達させることが大切。その最も重要な指標が、「2020年までにできるだけ早期に全国最低800円、全国平均1000円」をめざすとした政労使合意「雇用戦略対話合意」です。

 経団連は大幅引き上げに強く反発し、この合意の見直しを要求。審議は難航も予想されます。

 最賃引き上げは消費を拡大する効果が大きく、デフレ脱却への早道です。日本経済の健全な発展のためにも必要な政策です。

今こそ世界基準を

 オバマ大統領は2月、今年の施政方針を示す一般教書演説で、米国全土に適用される連邦最低賃金の引き上げを提案しました。2015年までに、現行7.25ドル(725円)から9ドル(900円)に引き上げる構想です。

 米統計調査局によると、18歳未満の子どもが2人いる一人親家庭の貧困ラインは年収1万8398ドルですが、連邦最賃の額では年間2080時間働いてもその水準には及びません。オバマ大統領はこの点を指摘し、「最も豊かな国にふさわしい最賃があるのではないか」と問題提起したのです。

 連邦最賃は5.15ドルに長らく据え置かれていましたが、引き上げを求める機運の高まりを受け、ブッシュ政権末期から09年までに7.25ドルに引き上げられたばかりです。米国で「9ドル」が実現すれば、日本は先進国の中で最下位に転落します。

 国連社会権規約委員会は5月、日本の最低賃金について、「人たるに値する暮らしができるよう決定方法の見直し」を勧告しました。今こそ、働くルールを「グローバルスタンダード」に合わせる時です。