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〈大阪の新人事考課制度を問う〉大阪府・市で4月から実施

実績上げても「最下位」評価?

(4月2日付)

 大阪府・市で4月から新たな「人事考課制度」が本格的に始まろうとしています。職員に序列をつけることで意欲向上を図るのが狙いとされていますが、これまでの試行では絶対評価で勤務成績の高い職員が相対評価を経て低いランクに位置づけられる「矛盾」が発生。逆に意欲低下が心配されています。

「期待通り」なのに…

 「担当業務を順調に処理しています。ほかの職員の業務をフォローするなどベテラン職員としての役割を果たしています」──。

 大阪府で働くある男性職員(64)は、昨年度上半期における「勤務成績報告書」で所属長にこういうコメントをもらいました。実績や能力に関する7つ全ての項目で期待どおりの仕事をしたと判定され、絶対評価では合格点の「B」(S、A、B、C、Dの5段階評価)。ところが、「相対評価」をくぐると、職員全体で最もランクが低い「第5区分」に位置付けられました。

必ず誰かが最下位に

 「本人の働きぶりにかかわらず、職場で周りが良い評価を取れば必ず誰かが下の区分に落ちていく」。こう制度の問題点を指摘するのは、大阪府関係職員労働組合の小松康則書記長。

 府では昨年7~11月、職員基本条例に基づき、制度が試験的に行われました。まず従来の絶対評価で職員個人の実績や能力を判定します。その上で所属の部局ごとに序列を決め、成績に応じて5つのグループに振り分けます。条例で各グループの人数分布の割合はあらかじめ決まっており、最も上位の「第1区分」は5%、中位の「第3区分」60%、最下位の「第5区分」は5%などとなっている。例えば職員20人の部局なら、必ず誰か1人は第5区分に当てはめられる仕組みです。

 小松書記長は「本来ならば実績や能力が上から2番目である『A』判定ならば『第2区分』に位置付けられるのが普通だ。しかし、先に枠が決まっているため、下に落ちる人が出ている」と語ります。

最悪の場合、免職も

 前出の職員のケースは決して特殊ではありません。絶対評価が「B」判定だったにも関わらず、昇格や一時金に影響が出る下位評価の第4、第5区分とされた職員は府全体で計1018人います。一方、ギリギリ及第点とされる「C」判定の職員が第3区分とされる「逆転現象」も。高い「A」判定の職員が最下位区分に落とされる事態も起きました。

 同様の制度が実施される大阪市では、第5区分者は昇給が停止されます。勤勉手当もカットされ「最上位者と最大で年間40万円の収入格差が生まれる」(大阪市役所労組)といいます。C、Dの職員が2年連続で最下位区分だと個別研修が行われ、改善がなければ免職処分もあり得ます。

 大阪自治労連の荒田功書記長は「職場によって所属長の評価が甘かったり、厳しかったりしていることの表れだ。評価を行う共通のモノサシがないのに、無理やり当てはめたため矛盾が生じている」と苦言。制度導入によって、「知事や市長の意を受けた恣意(しい)的な評価が横行しかねない」と危惧しています。