4月19日付
「職員基本条例」
によって
◇厳罰主義
懲戒処分の問題では別表を付けて、戒告、減給、停職の懲戒処分の種類を86項目列挙しています。
「自らの出勤または退勤の時刻と異なる時刻において、出退勤打刻を他人に行わせること」は停職、上司の命令に違反をするというのは減給または戒告、労使関係条例の規定に違反する行為を行うことは停職、減給、戒告となっています。
当時の橋下市長が服務規律刷新という名目でプロジェクトチームをつくりました。これは思想調査アンケートが批判を浴びて中止になった直後です。
勤務時間内の喫煙で懲戒処分、マイカー通勤で停職になった人もいます。
なぜそれがわかるのかと言えば、ほぼ身近な人からの告発です。
◇人事評価が相対評価
「職員基本条例」で人事評価は相対評価となっています。第5区分(最下位)は5%です。いくら職員100人が一生懸命に働いていても5人は最下位となり昇給はありません。第4区分の昇給は半分です。そうなると人間関係がギスギスします。
勤務時間中に体の大きい男性職員が体の小さな女性職員を体当たりで突き飛ばした、という事例や、係長が係員を市民がいる前で罵倒するので、まわりの人がパワハラ相談の担当に「なんとかしてほしい」と話に行ったら、パワハラしている本人が逆上して、被害者を会議室まで呼びだし土下座して謝らせるという事件が起こるなど、職場が壊れている事例があちこちで起こっています。
人事評価で2年連続5%の第5区分評価になると分限免職の対象になる、と「職員基本条例」には書かれています。そして分限免職を前提とした「適正化研修」を始めました。「あなたは成績が悪いので、研修を通じて努力をしないと分限免職になります」という研修です。
尼崎の事故につながったといわれるJRの日勤研修というのが有名ですが、ほぼあれと同じです。だからメンタルヘルス不調に陥るか、やめるか、そういうことが「職員基本条例」をもとにして行われています。
研修の対象者で、私たちの組合に相談に来ている人はまじめな人で、自分を責めて病気になられる人が多いですが、励ますことで本人の気持ちが前向きになり、研修担当にもモノが言えるようになった方がいました。たたかいがないと立ち向かえないということです。
人勧制度の否定につながる規定
「職員基本条例」第6章 職員の給与
(給与の原則)
第24条に「2階級上位の級の最低の給料月額を超えないように努める」とあります。
1級の一番高い最高号給が3級の一番低いところと重ならないようにしなければなりません。級が上がらなくても昇級できるように労働組合の要求で最高号給をのばしてきましたが、この条例ができたことによって、一般、係長、課長代理の最高号給がバッサリと削られ6、7万下がりましたので45歳ぐらいで給料が頭打ちです。
また「人事委員会は、民間事業者における給与水準及び勤務条件の実施を把握するため、直近の賃金構造基本統計調査規則(賃金センサス)第1条に規定する調査、その他公共団体が行う賃金等に関する調査を参考として活用しなければならない」ということを義務付けました。
これに似たような項目は堺にもありましたが「参考にする」に留まっています。大阪市の場合は「活用しなければならない」という条例になっています。
これを活用し、保育士、幼稚園教員の給料表ができてしまいました。
月額11万円も保育士の給料が低いことが社会問題になっていますが、それを人事委員会が調査をして、それと公務員保育士の給与を比べたら下げざるをえません。
ちょうど民間の保育士と大阪市の保育士の真ん中ぐらいが賃金センサスの給料表で、それを使って大幅に下げました。保育士さんの給料は7万円ぐらい最高号給が減りました。
われわれもたたかって、議会でもうちょっとで否決できるところまで追い込みましたが通ってしまいました。
その結果、8割、9割の保育士の給与は最高でも30万円ぐらいです。もうみんな将来展望をなくして、他の自治体にいったり、辞めていくので保育士の数が足りません。それを補うために募集をかけるのですが正規の採用枠は少なく、任期付き保育士を募集しても労働条件が悪いので集まらず、欠員となります。
大阪市はそれを前提に3年間で400人の子どもの募集定数を減らしました。
異常な大阪市人事委員会の給与報告・勧告の経過について
人事委員会が民間の実態調査をやって統計をとりますが、人事院と大阪府と政令指定都市と共同でやりますから、かわったことは本来できないはずです。
しかし、統計資料の中に給与をたくさんもらっている事業所がありましたが「これは排除せよ」と圧力をかけたのです。そしたら人事委員会が「下の2・5%と上の2・5%の資料を外し、合計5%排除します」ということを橋下市長の圧力を受けて勧告・報告を行い、大きなマイナスを生みました。その結果、年間9万円も給与が減っています。人事委員会が賃金カットをしているようなものです。
今年は現業職員の調査をやっていますが、民間で調べる対象企業がない職種ありますが、無理やり行っています。すでに現業は、橋下市長の攻撃の結果、給与がものすごく下がりました。例えば51歳の現業職員で高校、大学と子どもさんが2人おられる方で、10万円ぐらいダウンしています。
住宅ローンが払えず家を処分せざるを得ない、または退職金で一時しのぎをするということで辞めていかれた、という職員も数多くおられます。
こういうことを橋下市長は「僕が介入して初めてそれができたわけですから、人事委員会の事務局の方でそういう自浄作用というのが働いていない訳ですよね」ということを自慢げに記者に話をしています。
人事委員会に、橋下市長の発言を取り上げて「介入されたか」と聞きましても素知らぬ顔で答えませんでした。