堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

堺市職労(堺市職員労働組合)ブログです。

フォーラム「堺市の未来と大阪都構想」vol.4を開催~分割していいの?わがまち堺市

会場いっぱい300人の参加者

(9月26・27・28日付)

 9月17日、堺市民会館大集会室にて、フォーラム「堺市の未来と大阪都構想」第4弾企画(主催:大阪都構想から堺市を守る自由と自治の会)が開催されました。

 4回目となる今回は、会場いっぱいの300人を超える参加でした。

 開会あいさつに立った八田忠敬氏は、「まちは市民が力を合わせて作り上げていくものだと思っている。私たちは大阪都構想が何か冷静に考えていくことが必要」と述べました。

◆都構想は自己撞着

 はじめに、森裕之立命館大学教授が「『大阪都構想』と堺市」と題して、大阪をめぐる統治機構改革について概説されました。

 森教授は、大阪維新の会代表を務める橋下氏が大阪市長選挙において「24区、24色の鮮やかな大阪市へ」「大阪市をバラバラにはしません」「大阪市は潰しません」と訴えながら、当選後は8~9区の特別自治区へばらばらにしようとしていることや、大阪市が地図上から消える「大阪都構想」を次々と進めつつ、最終的には大阪都も白紙にして関西州の実現を狙っていること、現在は国政への進出を狙っていることなど、次々と変動する同氏の主張をなぞられました。

 その上で、「大都市地域における特別区の設置に関する法律」が成立し、政令指定都市と隣接自治体の人口が計200万人以上の地域で市町村を廃止できるようになったが、これは民主党が進めてきた地域主権の流れに反しており、論理ではなく数で物事が決定するという情けないことが起こっていると指摘。

 大阪都構想はあくまで行政改革案に過ぎず、これによって貧困がなくなるか、東京一極集中がなくなるかまったくわからないし、大阪衰退の原因が二重行政のためとしている理由も不明。自己撞着していると述べました。大阪都も関西州も手段であり、何よりも重要なのは都市づくりの理念であり、住民自治を発展させるため、市民から投げかけていこうと呼びかけられました。

◆地域から良くする

 続いて、地域からのパネルトークとして3氏から訴え。

 平山浜寺昭和校区自治連合会長は、地域活性化のためにNPOを立ち上げるなどして駅舎保存運動に取り組んできたことを紹介しながら、「大阪都構想は府と大阪市の二重行政をなくし、経費を節減して投資すると賛成したが、堺を分割する民意ははっきりしたわけではない。合併を積み重ね、中核市から政令市になった堺を分割してはならない、堺は一つ」と強調されました。

 また、久保湊西校区自治連合協議会長は、仲間とか絆を大切に紀州街道沿いで40年間自治会活動を行なってきたことを振り返りながら、「民意やいうけど、反対があるんやったら話し合っていくのが政治。子どものころから育ててくれた町を良くしたいと取り組んできた。堺市も住んでいる人がよくせなあかん」と語られました。

 武南社会福祉法人野のちから理事長は、精神障がい者の働く場をつくってきた現場経験から、「心の病は少しずつ自分を取り戻していく過程が必要であり、時間がかかる。橋下氏は競争、排除という思想を貫いているが、精神障がい者にはなじまない。鳳の中でいろんな人が力を貸していただいている。シンク・グローバリー、アクト・ローカリーで活動していきたい」と述べられました。 

◆特別講演

 特別講演「子どもの家事業と西成特区構想」で生田野宿者ネットワーク代表は、「母親が飛田新地で働いていたり、虐待を受けている、母子家庭で親がそううつ傾向など、困難な家庭環境に置かれている0~18歳の子どもを預かっている」と、子どもの家事業の補助金を受けて活動している「山王子どもセンター」(飛田新地をかかえる地域に存在)の活動を紹介。

 「子どもの家事業によって、生きる力をつけたり、進学できる子が出る。橋下市長は実態を知らず、教育バウチャーなど改革で予算を削っていくが、必要性のあるこの事業を存続してほしい」と訴えました。

 「グレートリセットと日本社会」と題した講演で湯浅反貧困ネットワーク事務局長は、小泉総理以来、政治はワンピースやドラゴンボールのように、次々と敵をつくるものになっているが、この背景にあるのは政治不信の質の変化と指摘。

 従来の政治不信は、政治家個々や政党の体質の問題で、逆に言うとシステム(議会制民主主義、政党政治)は信任されていたが、いまは政党政治や議会の仕組みそのものが「決められない政治」として政治不信の対象となっていて、それを体現している橋下氏は、次々とより強い政治に立ち向かって、橋下現象ともいうべき状況になっているとしました。

湯浅誠氏~「ヒーロー」求めず、一人ひとりが主体的に~

 湯浅氏は、「私たちはどういう政治を目指しているのか」と民主主義について問題提起。

 私たちは日常、家庭で家族と上手くやるためにあの手この手で調整をするし、国も外交の場で最悪を避けるため外交努力を尽くす。それが民主主義であり、民主主義とはめんどくさいことを主権者として引き受けることだとしました。

 今は余裕がなく、社会全体から話し合うことが失われているが、介護や子育てなどさまざまな事情からこの場にいない人たちと、話し合うことをしていくべき、声を出せないということを無視しちゃいかん、と呼びかけました。

 最後に、人間はだれかを支えることによって、自分のもてる以上の力を発揮する。弱い人にフォーカスをあてることで社会が活性化する。こういうことが面白くて創造的で社会が豊かになるという価値観が社会で共有されると、ヒーローを求める気持ちがなくなる。それは、一人ひとりが主体的に地域や町をつくっていくということ。時間はかかるがそういう地域をつくっていきたいと結ばれました。

◆市民アピールを広げよう

 最後に、丹野自由と自治の会事務局長から行なわれた、①堺はひとつアピールへの賛同の呼びかけ、②各区で開催するつどいへの誘いかけの訴えを全体で確認し、閉会しました。