堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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市民シンポに350名超参加~「大阪都構想」は堺乗っ取り作戦

シンポジスト発言 堺守る意義を裏付け

(6月5日付)

 2日、サンスクエア堺で、「大阪都構想」から堺市を守る自由と自治・堺の会が、5回目の市民シンポジウムを開催。350名を超える参加があり、大阪都構想の根本問題を学ぶと同時に、シンポジストの発言を通し、まちづくりをすすめるうえで大切なことは何かを考える機会になりました。

住民自治とほど遠い、乗っ取りさせてならず

 第一部の講演で、神戸大学名誉教授の二宮厚美氏は、『橋下主義』に基づく大阪都構想の中身を五つに分け、問題指摘しました。

 大阪都構想が出てきた出発点からの問題として、東日本大震災の約1か月後の統一地方選挙時、全国の人が心を一つに、被災地の支援・復旧・復興に力を注がなければならないと思いをもったとき、大阪はひたすら世界に勝てる強い都市にすべきだということだけを前面に掲げ、いかに被災地域の願いをばかにしたものかと、怒りを込めて指摘しました。

 さらに「そもそもの関西州構想の挫折で、外から権限・財源を集められなくなり、ならば足元からと、大阪都構想へ修正を図ったものの、最後に残ったのが大阪市堺市」「その大阪都構想を根拠づけるために行き着いた『二重行政の解消』により、24の市民プールや区民センター、病院、大学の廃止・統合など、大阪都構想の前に住民の施設や事業が吸い上げられている」として、自治都市堺を乗っ取りの餌食にさせてはならないと強調しました。

堺市そのものが消滅

 シンポジウムコーディネーターの奈良女子大学教授の中山徹氏からは、「これまで大阪経済の発展を支えるために、堺の豊かな歴史や自然が活かされず、ややもすると失われるということがあったが、今度は、堺市が無くなってしまう。大阪都心部の活性化と引き換えに、堺市を解体していいのか」と提起し、4人のシンポジストから順に発言を受けました。

地元・自らの経験発言

 耳原総合病院医師の藤井建一氏は、全国トップレベルの子ども医療費助成制度や重症心身障害者(児)支援センターを例に挙げ、「仕組みが変わって維持できるのか、一般に弱者といわれる方が住みよいまちを維持・発展させることが、堺市の未来を切り開いていくのではないか」と述べられました。

 前副市長の髙橋保氏は、競争と選別で貫かれた橋下大阪市長の「教育改革」とは相容れない、教育環境整備、地域協働、コミュニティ発展をめざした学校再編や、政令市でなければとても成し得なかった決断・事業として、三次救急に取り組んでいることを紹介し、「困難な医療の後退を許さないために、大阪都構想にはくみできない。堺の自治を守るために取り組みたい」と結ばれました。

 湊西校区自治連合協議会長の久保照男氏は、飾らない語り口で、40年にわたるボランティア活動の原点に、隣近所のおじさん、おばさんが温かく見守って育ててくれたことへの恩返しがあると前置きし、「政令市なるのに、どれだけ市民の方が苦労をされたか、今になってなぜ大阪都構想に巻き込まれるのか、市民の輪をこしらえることが必要」と、発言されました。

 NPO国際交流協会理事長の加藤均氏は、都市計画の用途変更や教職員の募集・採用、道路行政等に触れ、政令市の財源と権限を利用して行われている施策を具体的に取り上げると同時に、川崎市を例に、「政令市になったからと言って今日良くなるということではなく、何十年経って政令市を守ってきてよかったと思えるときが必ず来るので、みんなと力を合わせて、この制度を守り抜き、すばらしい政令指定都市をつくりたい」と決意を述べられました。

84万人の自治育てよう

 参加者とシンポジストとのやりとりの後、中山氏は、「個々の政策を問えば、賛成・反対あるが、84万人のマンパワー・財源がなくなることが問われている。民主主義=選挙であれば、少数意見はどうなるのか、選挙に勝てば何でもできるというのは違う。選挙の勝敗以上に重要なのは、自治の精神。政令市、84万人の自治をどう育てていくかが問われている」と述べ、議論を呼び掛けました。

 最後に、会の丹野事務局長から、堺市を守った先にある、将来の堺市のビジョン(素案)を提起し、「議論を重ねながらご一緒に考え、未来に向けた発展をつくりあげよう」とあいさつをしました。