堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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シャープ公金支出住民訴訟3周年~学習と交流のつどい

自治体の役割とシャープの経営危機について論議

(9月20日付)

 シャープ堺工場に大阪府が莫大な補助金を支出し、堺市が10年間にわたる税減免(不均一課税)を行っていることに対する住民訴訟が3周年を迎え、9月9日(日)、学習と交流のつどいが開催されました。

 つどいでは、住民訴訟原告団事務局から、毎日のように新聞誌上をにぎわせているシャープの「経営危機」について、最新の動きを報告、その後、立命館大学の森裕之教授(財政学)からの講演がおこなわれました。

 森教授は、シャープは堺工場に巨額投資をおこなったが、低い稼働率による減損リスクを回避するため過剰なパネル生産を継続、2140億円分もの大量在庫を抱え、当初フル稼働だった稼働率も3割程度にまで落ち込み、投資家筋の間では「余命一年」といわれていた。台湾企業の鴻海の出資で一息ついた形になっているが、堺工場に対する主導権を奪われている。鴻海の狙いはシャープの持つ「設計・技術・知的財産権」であり、台湾の2~3倍といわれる人件費の日本で、堺工場をまともに運営するつもりがあるのかは疑問と述べられました。

 シャープとその関連会社に対する補助金のうち、大日本印刷Gと凸版印刷Gに支出された補助金33億円が、別会社(SDP)への事業統合のため、大阪府に返還されることがすでに決まっています。

 堺市の企業立地促進条例では、不均一課税対象となる企業立地計画の審査の際に「企業立地計画が企業等の資力、信用及び経営能力の面から適切であること」が要件とされていますが、すでにこの点からして、シャープの計画は破綻しています。不均一課税を続ける限り、減免前の税収が「基準財政収入額」に算入され、結果として地方交付税が大幅に減るため、堺市の財政に与えるマイナスの影響も少なくありません。

 つどいでは、操業3年にしてこのような状況に陥っているシャープや関連企業に対して、これ以上公金支出を続けることは止めてほしい、補助金や税減免だけでなく、道路整備や下水処理水、開発許可などシャープ立地の過程でおこなわれてきたさまざまな「優遇策」の公共性の是非を法廷で明らかにしてほしい、巨大企業の立地に頼るのではなく、地元中小企業や地場産業を地道に育て、住民の暮らしを支える施策に公金を使ってほしいとの声が寄せられました。