6年半に及ぶ裁判が結審 今年9月に判決へ(4月15日付)
3月29日、シャープ堺工場立地をめぐる公金支出(税の減免・補助金)をめぐる6年半に及ぶ住民訴訟が結審しました。判決は9月8日の予定です。この間の裁判で、自治体の役割や、産業振興策のあり方など重要な問題が数多く提起されました。
シャープ堺工場の立地をめぐる大阪府と堺市の巨額でかつ長期(10年間)に及ぶ補助金や税減免をめぐる住民訴訟は「市民の収めた税金は、大企業のためではなく、市民のために使ってほしい」という率直な住民のおもいを出発点に、2009年にはじまりました。
この間の40回にわたる公判で明らかになった点は以下のとおりです。
①国からの地方交付税は減免前の税収があったものとして算定されることから、税の減免により、交付税が大幅に減額され、市の財政収支上大きなマイナスになってしまう。
②立地の決め手は税減免や補助金とはいえない。(交通アクセスなどのさまざまな要因が大きい)
③シャープ堺工場の経営権はシャープから台湾企業・鴻海に移っている。立地企業でもない外資系企業にいつまでも多額の「補助金」を支出し続けることの是非。
④「補助金」だけでなく、道路等のインフラ整備は、国・府・市が丸抱えで行っている。
⑤立地を急ぐあまりに行政手続きは問題がなかったか。
⑥多額の「補助金」支出の根拠「波及効果」は6年が経過しても実態に基づいた検証をおこなっていない。
シャープ堺工場の誘致は、太田府政・木原市政のもとでおこなわれました。その後、堺市は竹山市政になり、大企業・臨海部優先の企業誘致策から、中小企業・全市的な産業振興策へ政策を大きく転換しています。
しかし、大阪府は、橋下―松井府政のもと、いまだに大企業優遇の政策を変えようとしていません。それどころか、最悪の誘致策であるカジノ誘致までおこなおうとしています。
立地当時は飛ぶ鳥を落とす勢いだったシャープも、現在は鴻海に買収されるなど、大企業に依存した産業振興策の危険性は証明済です。
この6年間に提起された自治体の役割や産業振興策をめぐる問題を真摯に受け止め、政策づくりに役立てていくことが求められています。