「企業誘致策、見直すなら今!」
9月6日、シャープ住民訴訟5周年のつどいを開催
(10月9日付)
裁判の現状報告
牧弁護士は、5年間の裁判でシャープへの不均一課税、誘致政策の問題点を明らかにしてきたこと、法廷での論点、裁判の行方について述べました。
続いて事務局の藤永氏から「カジノ推進法案が狙われており、大阪府と大阪市も舞洲を軸としたベイエリアを統合型リゾート(IR)候補地として決めた。安倍首相は、カジノは産業振興をもたらし活性化につながると述べているが、大きな問題」。同事務局の松永氏から「府は、旧シャープ堺工場関連に10年間で262億円もの補助金支出を続けているが、堺市は竹山市長になって臨海部へのLRT計画を中止、企業立地条例を改正、内陸部の地元企業も対象にし、期間を最大10年間から5年間に縮小するなどそれまでの誘致策を大きく転換してきた。しかし、まだ『助成』は続いており、中止するべき」と指摘しました。
訴訟の意義と展望
講演された立命館大学の森裕之教授は、住民訴訟の意義と展望について、「都道府県や大都市が平成の『企業誘致合戦』を繰り広げてきたが、地域の技術・産業を土台にした地域内産業連関に基づく経済と環境・福祉・文化の総合的な『内発的発展』への転換が必要」「カジノ誘致などは外来型開発と産業政策の象徴のようなもので、時代錯誤の大企業誘致政策」と指摘、「大企業は独自の論理で動くものであり、都市政策を委ねてしまってはいけない。現在堺市は、様々な経済主体(公企業、中小企業、NPO,協同組合、農業・漁業関係者、市民等)による多様な経済活動の展開への模索段階であり、行政と企業・大学等との協働や大都市としての高度な行政施策(交通、産業、医療、福祉、教育、環境、防災等)の展開を南大阪地域の自治体とも連携してすすめる必要がある」「訴訟は市民本位の財政のあり方を求める運動であり、予算編成に住民のニーズを最大限反映させるために、『区民ボード』をその端緒にしなければならない」として、ニューヨークのコミュニティボード(委員会)の事例を紹介。
最後に「先の市長選挙は、堺市の新しいバースデイ。地方自治は民主主義の学校であり、『都市内自治』によって『成長』から『幸福』への新しい堺のまちづくりをすすめよう」と締めくくりました。