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国家公務員の退職金400万円削減提案-経過と問題点

結論急ぐ背景に消費増税増税反対の国民世論と退職金削減反対の声を一つに (7月26日付)  国家公務員の400万円を超える大幅な退職手当削減について、消費税増税を含む「社会保障・税の一体改革」関連法案の成立がねらわれるもと、「みずから身を切る改革」として利用されようとしており、緊迫した状況にあります。 退職手当削減の経過  人事院による「民間の企業年金及び退職金の調査結果」(H24年3月)や政府の「共済年金職域部分と退職給付に関する有識者会議(以下、有識者会議)」の「中間的な議論の整理」(H24年5月)を踏まえて、総務省が6月1日、公務労組連絡会に対し、400万円を超える退職手当の削減を提案してきました。 退職給付水準の官民較差  人事院の調査結果は、昨年8月、国家公務員の退職給付制度を所管する総務大臣財務大臣からの要請を受け、平成18年と同様に実施されたもので、本年3月に調査結果と見解が公表されました。  退職給付総額での官民較差について人事院は、402・6万円公務が上回るとして、「官民均衡の観点から、民間との較差を埋める措置が必要」との見解を示しました。  官民較差の調整について、有識者会議は、被用者年金一元化法案(H24年4月国会提出)で、共済年金職域部分の廃止時期が、平成27年10月とされており、当面の退職者については、職域部分の支給水準に大きな変更は生じないと見込まれ、5年おきの調査実施を想定すれば、その全額を一時金である退職手当の支給水準引下げにより行うことになるとして、約14・9%もの大幅な引下げを中間的にとりまとめました。 背景に消費税増税  このとおり、短期間に結論を急ぐ背景には、消費税増税を含む「社会保障・税の一体改革」関連法案の成立がねらわれるもと、「みずから身を切る改革」として、国家公務員の退職手当の大幅削減を利用するねらいがあることは明らかです。 疑問ありの引下げ理由  5年前の調査では民間が20万円高かったものが、今回400万円もの差になり、有識者会議のある委員は、公務で民間企業への転職制限が強まったために早期退職者が減り、長期勤続者が大幅に増えたことに着目。人員分布が変わらなければ、較差は347・5万円と試算しました。 5年前の見解はどこに?  何より、平成18年の人事院の見解では、「公務の退職給付を考えるに当たっては、民間の平均的水準との比較に加え、公務にはどのような人材が必要であり、どのような働き方を求めるのかを踏まえ、公務と類似する人事管理を行っている企業や人材確保において競合する企業における退職給付はどうなっているのかという視点や、公務員の人事管理においては、厳正な服務規律や長期勤続の確保などが特に必要とされていることに鑑み、退職給付制度を充実する必要はないかという視点からも、十分検討する必要がある。この点に関しては、公務員年金制度が確立している主要国をみても、老後保障としての公務員年金の役割に変化はみられず、充実した給付が確保されていることにも留意する必要がある」としており、官民比較だけによる結論では、検討が不十分です。  昨日は、夏季闘争最大の行動として「中央行動」が配置されました。8月早々に方針決定をねらう政府に対し、消費増税反対、露払いの退職金削減反対の声をさらに強めましょう。