労使双方の意見を反映せよ~市職労として改めて「100人以上」を要求
(7月17日付)
6月20日から7月11日にかけて、堺市人事委員会は堺市内の正社員30人以上50人未満の事業所の給与制度等の調査を行いました。調査に当たり、市職労は意見交換を行いました。
現在、公務員の給与は国については人事院が、都道府県・政令指定都市については各人事委員会が正社員50人以上の事業所を対象に給与制度等の調査を実施し、官民比較を行い、勧告又は報告する仕組みになっています。
従来は「100人以上」
そもそもH17年までは事業所の要件は100人以上であり、翌年から50人以上に拡大しました。しかし、国はもちろん、都道府県・政令市のような数千・数万人規模の組織と100人未満の規模の組織を比較するのは極めて不合理であり、堺市労連もかねてから「100人以上」に戻すよう要求してきましたが、今回の調査はそれに逆行するものです。
任命権者側から・・
この調査について堺市人事委員会事務局は、意見交換で、以降のとおり述べています。
人事委:対象は、堺市内の30人以上50人未満の事業所。郵送でアンケートを送付し、回収する。対面では行わない。どのように官民比較するかは未定。
組合:なぜ調査を行うことになったのか?
人:今回の規模の調査は先の市長選挙における公約でもあるが、議会・任命権者側からの質問があっても、現状では情報もなく検討もできないため。
組:組合側からは常々「100人以上」を要望している。第3者機関である人事委員会が任命権者側の意見を一方的に受け入れ、調査するのはおかしい。100人以上の調査結果も示すべき。
人:堺市で100人以上の企業はごくわずか。また、50人以上と大きく重複する。
過去事例も反映できず
組:過去、他団体での調査実績は?
人:東京都が複数年、大阪府がH21年度に行なっているが、いずれも「回収率が悪く、データとして使えない」
組:調査した以上、どんな結果であれ、公表せざるをえず、数字が一人歩きし、悪用される可能性もある。
人:どのような結果が出るかは実施してみないとわからない。
50人未満事業所の調査は、かつて人事院が設立した研究会でも「給与の比較対象となる職務が少ないことや対象事業所が多いため訪問による精確な調査が困難」と報告されています。また、H21年度に大阪府で行なった調査でも同様の報告がされ、月例給について50人以上対象では府職員との較差885円に対して30人以上では7238円(右グラフ参照)。一時金では50人以上4・13月に対して30人以上3・89月という結果となりましたが、調査に対する誤差や精度等から「規模の引下げに限界がある」という結論に達しています。
労働者側も意見反映を
人事委員会は公務員が「労働基本権を制約された代償措置」機関であり、使用者側の意見のみを反映する機関ではありません。調査する企業規模の復元や、官民比較する職務の級を多くの政令指定都市で採用されている級に是正する等、労働者側の意見も反映し、勤務労働条件の改善に努めるべきです。