堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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~『大阪都構想』学習会に50名が参加~

堺市のマイナス影響額は膨大!(2月3日付け)

 堺市職労行財政分析研究会が、住みよい堺市つくる会との共同で開催した学習会『「大阪都」構想の検証』に、職場・地域から50名を超える参加がありました。

 講師の森裕之・立命館大学教授は、「橋下知事らは大阪都にすれば、衰退から脱して東京のように発展するかのごとくいうが、大阪の衰退・東京の繁栄は、政府機能とそれに連なる経済機能の東京一極集中が主因であり、そのことは在阪企業の本社移転等の調査をすれば判ることである。具体的な事務配分・財源配分は未提示であり、結局のところ、何をしたいのか、何を改革したいのかがわからない。」と述べ、

「知事が模倣している東京都制度の論理と実態、特別区制度の経緯を正確に分析する必要がある。もともと戦争目的完遂のため行政の一元化を強力に推進する「東京都制」が1943年に公布されたが、当時の区には自治権がなかった。戦後地方制度改革により、区長公選制、課税権、条例制定権などが認められるが、52年には区長公選制廃止、事務の限定処理など、特別区の東京都の内部団体化が進められた。その後、特別区からの区長公選制復活など自治権拡充運動が活発化する中で75年には区長公選制が復活。しかし、都が一般市の業務(清掃、消防、上下水道等)を行い、特別区の課税権は制約されるなど、なお内部団体的な性格が残された。特別区が法的に基礎自治体として認められたのは、2000年に施行された改正地方自治法であり、07年12月にまとめられた特別区制度調査会報告では、現行の特別区制度を廃止し、都は「府」に純化し、区は「東京○○市」へ移行する、などの提言もされるなど、「大阪都構想」とはまるで逆の経緯を辿っていることを直視する必要がある。」と、東京都の歴史的経緯にふれました。

【「大阪都」構想はあり得ない話】

 また、税源配分について、「都構想の対象とされている各市の財政状況を東京都の制度をベースに試算した場合、堺市では、税収のマイナス影響は約440億円にのぼると予測され、地方税のうち、実に3分の1の税収が大阪都に吸い上げられることになる。堺市の土木費が470億円、教育費が280億円であることと比較すれば膨大な税収を奪われることとなる。逆に大阪府(都)の増収は約3割となり、リニア新幹線や高速道路整備、臨海部開発、カジノ誘致等の大規模事業への集中投資をすすめる原資となる。この仕組みを見れば、堺市に限らず、名指しされている各都市の立場からすれば「大阪都」構想は、あり得ない話である。」と述べました。

 最後に「民主党政権がすすめ、風前の灯と化した『地域主権改革』だが、いまは国家主権すら危うい状況である。このように国政が不安定な中で、ポピュリズム型首長、地域政党が増えている。東京特別区長アンケートでは「大阪都」構想への否定的な意見が相次いだのに比べ、当該の自治体関係者(首長、議会、労組等)から反対の声が大きく上がらないことに危機を感じる。ぜひ堺から、地方自治を守る本来の役割を果たすために頑張ってほしい。」と述べられました。