堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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条例案についての意見を堺市議会に提出

堺市人事委員会 「慎重な検討が必要」

 地方公務員法で、人事委員会は、職員に関する条例の制定又は改廃に関し、地方公共団体の議会及び長に意見を申し出るものとされています。そして、職員基本条例案及び教育基本条例案についての堺市議会からの意見聴取に対し、堺市人事委員会は、1日、「条例案に対する意見」(以下「意見」という。)として回答しました。

条例案が規定する人事委員会】

 堺市職員基本条例案は、12章49条から構成されています。

 同条例案では、人事委員会は、法律又は条例によりその権限に属するとされた事務に加え、(1)職員の懲戒処分や分限の可否及び内容、職員の再就職の適性について審査すること(第4条)、また、(2)人事委員会勧告にあたり、直近の賃金センサスを基礎として勧告を行うことや、市の財政状況を考慮しなければならない(第16条)とされています。

 なお、(3)幹部職員(局長級)は、「準特別職」とされ、市長が指名する外部有識者による面接結果を尊重して選考された、任期付職員と規定されています。(第7条)

地公法が規定する人事委員会】

 「意見」では、そもそも地方公務員法には、人事機関として、人事権を直接職員に行使する各任命権者と、専門的、中立的な機関として任命権者の人事権行使をチェックする人事委員会が並立して規定され、このことにより、人事行政の適正な実施を法律上厳しく確保することを目的としていると述べています。

【救済機能が働かない】

 こうした点から「意見」では、人事委員会が職員の懲戒処分や分限処分についてその可否及び内容を事前に審査することは不適切であると指摘。「このことによって、任命権者と職員との関係において、裁判所のような役割としての準司法的権限を与えられている人事委員会本来の存在意義が損なわれ、結果、事後審査等の救済機能が働かない可能性があると考えられます。」と述べています。また、再就職の適性審査についても、地方公務員法が想定するものではないとしています。

【存在意義に反する】

 人事委員会勧告については、給与の決定にあたって考慮すべき事情も、地方公務員法に定められており、人事委員会の専門的、中立的な第三者機関としての勧告権限に制約を課すことは、地方公務員法における趣旨や人事委員会の存在意義等に反すると考えられるとしています。

【法の想定外】

 幹部職員を任期付職員とすることについては、任期付法において、高度の専門的な知識又は優れた識見を一定期間活用して遂行することが特に必要とされる業務に従事させる場合や、専門的な知識経験を有する者を公務部内において確保することが困難な場合に、特定任期付職員や一般任期付職員といった、任期付職員を採用することができると限定されており、「幹部職員を一律に任期付職員として採用することは、法の想定するところではないと考え、地方公務員法及び任期付法の趣旨からすると適当でないと考えます。」と述べています。

【慎重な検討を要請】

 「意見」では他に、人事評価に関し、任命権者の裁量権との関係や、一定割合の職員が必ず最下位の評価区分に該当することによる分限処分につながる可能性について、慎重な検討が必要としています。そして、その他の規定についても、地方公務員法や任期付法等の法令の規定との整合性及び任命権者等の裁量権との関係などについて、不整合や疑義が生じないよう、慎重な検討が必要と結んでいます。