堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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政治活動制限条例案が委員会で可決

緊迫した情勢 廃案に向け取り組もう

(9月16日付)

9月14日、大阪維新の会堺市議会議員団が再提案した「堺市職員の政治的行為の制限に関する条例」(案)について、市議会総務財政委員会において、維新、公明、自民の各委員の賛成多数で可決され、本会議へ送られました。同条例案をめぐってはきわめて緊迫した情勢です。

 この条例案は、2年前に市議会に提案されたものと同一で、国家公務員法及び人事院規則を堺市職員に適用することで、本来地方公務員法では禁止されていない政党や政治的団体の機関紙発行の援助など、幅広い政治的行為が禁止されています。

証拠という形で挙がるものはない

 国家公務員法違反事件(堀越事件)最高裁判決(2012年12月7日)の概要について問われた当局は「休日に職場外で政党機関紙を配付した行為が国家公務員法及び人事院規則に抵触するとして逮捕起訴された事件」「最高裁において、公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められるものとはいえないとして無罪となった」としました。

 また、堺市人事委員会は「判決において、政治的行為とは、公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なう恐れが観念的にとどまらず、現実的に起こりうるものとして実質的に認められるものと示されている」としたうえで、「人事委員会としては、判決文も引用して、違反事例に対する懲戒処分においても適正な運用が求められると考えます」と述べました。

 最高裁判決が示した、「現実的実質的に公務員の職務遂行の政治的中立性を損なう政治的行為」が現に堺市であるかどうかという立法事実の存在の有無や、条例案の真の狙いは何か、と問われた維新の会は、立法事実については「証拠という形で挙がるものはないが総合的な判断によって、立法根拠がある」と述べるにとどまり、真の狙いについても「職員の政治的中立性の保障」「行政の公正な運営を確保し、もって市民から信頼される市政の実現」という条例案の趣旨を繰り返しました。

市民に迷惑かける条例 

 また、東京都などが定めた「日の丸君が代条例」により、提訴が200件以上おこされ、ほとんどの裁判では処分が取り消されていることを例に挙げ、「条例が議会内の多数決で決まり、懲戒処分を行ったとしても、裁判に持ち込まれ、余分なお金とエネルギーと時間がかかるだけ。市民に損害を与えてしまう。君が代日の丸条例のように、市民に迷惑をかけるようなことがあってはならない」との指摘に対しても、「条例制定権憲法に定められている」と論点をすり替えました。

きわめて緊迫

 総務財政委員会の質疑では、条例の必要性が明らかにならないばかりか、「市民に迷惑がかかるもの」との指摘もありましたが、採決では、維新、公明、自民の賛成多数で可決しました。

 堺市職労は、職員の人権を不当に制約し、物言えぬ風通しの悪い職場を生み出す同条例案に反対し、取組みをすすめます。