「大阪都構想」について学習し議論を深めよう
9月11日、堺市民会館大集会室において、堺市の未来と「大阪都構想」を考える市民シンポジウム(主催:同実行委員会)が開催され、会場いっぱいの250人が参加しました。
まず、大阪市立大学名誉教授の宮本憲一氏が記念講演されました。
「大阪都構想」は大阪市と堺市を廃止して、堺については3つの特別区に分解し、他の府内自治体を再編成して、大阪府を大阪都にする案と言われていますが、宮本氏は、
▼この制度改革は国や自治体間の交渉で長時間を要する。
▼東日本大震災や原発問題など、日本社会の重大な転換期に、大阪府がそのことに対してどうするのか政策も示さないまま、いつになったらできるのかわからない制度改革にエネルギーを割くのは何と無責任な知事なのかと厳しく指摘。
その上で、▼都市とは人間が歴史の中で形成した有機体であり、権力的に分解することは歴史的暴挙。▼自治体の区域の決定は住民の権利であり、政府や知事が上から決めるものではない。
▼他国でも、ソ連の農業都市建設やイギリスのニュータウン計画など、人為的に都市をつくる試みはうまくいっていない。
▼大都市は、集積利益によって経済や文化を発展させてきた。その能力を分解してはならない。
▼諸外国は、ニューヨークのコミュニティボードなど住民参加の制度を導入している。日本でもこうした制度を大都市に導入すべき、
と都市論を概説され、
「堺市や堺市民には、自分のまちを健全で文化的なまちにしたいというエネルギーが歴史的にある。絶対に権力が都市をつくることはできない。都市はみなさん方がつくるものです。」と結ばれました。
続くシンポジウムでは、各パネリストより
「政令指定都市は堺市の長年の目標であった。これからまちづくりが始まる」
「旧美原町と25項目数百にわたる事務をひざ詰めで話して合意した。現在その課題を執行中の段階」
「大阪都構想は橋下知事が独創した案ではなく、府庁の悲願。自己中心的な発想」
「行政の視点ではなく、市民の目線で考えるべき。自治とは歩いていける範囲で行われるべきもの」
など、反対の意見を含め、それぞれの立場から「大阪都構想」に対する考えが続々と出されました。
発言を受けて宮本氏が「『大阪都構想』に対して反対の意見が多かったので安心した。都構想に反対するだけでなくて、大都市になった局面で、新しい優れた風格のある堺市をつくっていただきたいというのが希望です」とコメントされました。
最後に実行委員会事務局長より、橋下知事と平松市長の対決だけでなく、堺市の将来にとってどうなのかよく考えてみようという問題提起をさらに推し進めていかなければいけないと発言し、閉会しました。