総務省は、「地方公務員の労使関係制度に係る基本的な考え方」を6月14日に取りまとめました。このことについて、7月6日までの間、意見募集が行われており、執行部では意見集約中です。総務省の考え方(一部抜粋)を紹介します。
地方公務員の労働基本権については、国家公務員制度改革基本法において「国家公務員の労使関係制度に係る措置に併せ、これと整合性をもって、検討する。」とされています。
これを踏まえ、「国家公務員制度改革基本法等に基づく改革の『全体像』」(平成23年4月5日国家公務員制度改革推進本部決定)においては、「地方公務員制度としての特性等を踏まえた上で、関係者の意見も聴取しつつ、(中略)、速やかに検討を進める」とされ、総務省において、「地方公務員の労働基本権の在り方に係る関係者からの意見を伺う場」を開催し、関係者からの意見を聞き、基本的な考え方を取りまとめたとしています。
<制度の概要>
1.協約締結権を付与する職員の範囲
一般職の地方公務員(ただし、団結権を制限される職員、重要な行政上の決定を行う職員及び地方公営企業等に勤務する職員等を除く。以下「職員」という。)に協約締結権を付与する。
2.団体交渉の当事者
(1)労働側の当事者
○ 労働組合は、職員が主体となって自主的にその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織す る団体又はその連合体とする。
○ 都道府県労働委員会に認証された労働組合は、団体協約の締結、不当労働行為の救済申立て、あっ せん・調停・仲裁手続への参加、職員の在籍専従等が可能となる。
○ 認証の要件は、規約が法定の要件を満たすこと、構成員の過半数が同一地方公共団体に属する職員 であること等とする。
(2)使用者側当事者
地方公共団体の当局は、引き続き交渉事項について適法に管理し、又は決定することのできる者とする。
3.団体交渉等
(1)認証された労働組合と地方公共団体の当局は、下記の事項について団体交渉を行い、団体協約を締結できるものとする。
① 給料その他の給与、勤務時間、休憩、休日及び休暇に関する事項
② 職員の昇任、降任、転任、休職、免職及び懲戒の基準に関する事項
③ 職員の保健、安全保持及び災害補償に関する事項
④ ①~③に掲げるもののほか、職員の勤務条件に関する事項
⑤ 団体交渉の手続その他の労働組合と地方公共団体の当局との間の労使関係に関する事項
(2)地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項は、引き続き団体交渉の対象とすることができることとする。
(3)現行地方公務員法において規定されている予備交渉の実施、団体交渉の打ち切り、勤務時間中の適法な団体交渉の実施等については、引き続き法定する。
なお、職員が勤務時間中の適法な団体交渉に参加する際の手続を整備する。
(4)地方公共団体の当局は、団体交渉の議事の概要及び団体協約を公表しなければならないこととする。
4.不当労働行為の禁止
(1)地方公共団体の当局が労働組合の構成員であること等を理由として職員に対する不利益な取扱いをすること、認証された労働組合との団体交渉を正当な理由がなく拒否すること、労働組合の運営等に対して支配介入・経費援助をすること等の行為を禁止する。
(2)不当労働行為があった場合の都道府県労働委員会による救済制度を設ける。
5.勤務条件の決定原則等
(1)情勢適応の原則等、現行地方公務員法において規定されている勤務条件の決定原則については、引き続き法定する。
(2)職員に協約締結権を付与することに伴い、勤務条件に関する人事委員会勧告制度を廃止する。
(3)住民への説明責任を果たし、住民の理解を得る観点から、民間の給与等の実態を調査・把握する。
調査・把握する主体等については更に検討を進める。
6.勤務条件の決定方法及び団体協約の効力
(1)職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、引き続き条例で定めることとする。
(2)勤務条件を定める条例の制定改廃を要する内容の団体協約を締結した場合には、地方公共団体の長は条例案の議会への提出義務を負うこととする。(ただし、地方公共団体の長以外の機関が団体協約を締結する場合には当該地方公共団体の長との事前調整を行う仕組みを設ける。)
(3)勤務条件を定める規則等の制定改廃を要する内容の団体協約を締結した場合には、地方公共団体の長その他の機関等が規則等の制定改廃の義務を負うこととする。
7.交渉不調の場合の調整システム
認証された労働組合と権限ある地方公共団体の当局の間に発生した紛争であって団体協約を締結することができる事項に係るものについて、都道府県労働委員会によるあっせん、調停及び仲裁の制度を設ける。
8 人事行政の公正の確保
勤務条件に関する措置要求、不利益処分に関する不服申立てその他の職員の苦情の処理に関する事務等については、引き続き第三者機関が所掌する。
<消防職員の団結権>
消防職員の団結権については、付与することを基本的な方向としつつ、必要な検討を進める。