7月22日付
16日、大阪自治労連(堺市職労も加盟)は、大阪地方最低賃金審議会に「大阪府の最低賃金大幅引上げ、時間額1500円の早期実現と全国一律最低賃金制度を求める」意見書を提出しました。
賃金が上がらない国
8日に厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査によると、実質賃金は26ヶ月連続で減少し、過去最長を更新したと報じられています。
先進国の実質賃金は、1991年から2022年にかけて、アメリカで1・48倍、イギリス1・46倍、フランス1・33倍ですが、日本は1・03倍とこの30年間で唯一「賃金が上がらない国」となっており、1996年のピーク時と比較して2022年の時点で年間64万円も減り、30年前の水準にまで落ち込んでいます。
膨張する内部留保
この背景には、この30年の間に低賃金で不安定な非正規雇用で働く人を労働者の4割にまで広げ、正社員には長時間労働が押し付けられてきたことがあります。その一方で、大企業の内部留保は2022年までの10年間で180兆円近く増え510兆円にも膨れ上がっています。また消費税は5%から8%、10%へと14兆円も増税され、増税分は富裕層・大企業減税などの穴埋めに消え、年金、医療、介護などあらゆる分野で負担増と給付削減が繰り返されました。
現行の最低賃金は全国加重平均で時給1004円、年収で184万円にとどまり、地域格差は220円、年収で40万円もの差があります。これはドイツの1923円、イギリス1875円、フランス1785円の5〜6割程度で、韓国の1084円を下回る金額です。
全国一律・1500円
大阪の自治体に働く職員の約半数は会計年度任用職員など非正規公務員です。非正規公務員の賃金は最低賃金ギリギリの水準に据え置かれたり、最低賃金法が適用されないことから最賃以下の賃金で働かされている非正規公務員もいます。
いま求められるのは、中小企業支援と合わせ、物価上昇を上回る賃金の引き上げ、正規と非正規、男女の賃金格差、地域間格差を解消することです。さらに公務員にも最低賃金法を適用することが必要です。
また、世界の最低賃金制度の主流は全国一律です。賃金底上げ、内需拡大、地域活性化のためにも、中小企業支援策の拡充とともに、生計費原則に基づく全国一律の最低賃金1500円の到達を強く求めるものです。
【要求項目】
1 物価上昇を上回る賃上げを実現し、すべての労働者が人たるに値する生活ができるようにするために、大阪府の最低賃金を大幅に引きあげ、生計費原則に基づき早期に1500円に到達させること。
2 全国・全産業一律最低賃金制を確立すること。
3 最低賃金の大幅引き上げと同時に公契約法の制定、中小企業関連予算の増額、中小企業支援策の強化、公正取引確立のための下請け法等の改正の実行を政府に求めること。
4 公務員にも最低賃金法を適用すること。