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やっぱり労働組合 労組の役割に”期待” 今年の労働経済白書

12月6日付

厚生労働省が2023年版「労働経済白書」で賃上げの特集をしています。この中で日本の賃金がこの四半世紀の間低迷した要因として、内部留保の増大という「分配」のありようの変化と、労組の交渉力低下を挙げています。そして労働組合の役割に異例の〃期待〃を表明しています。

 

 日本の賃金が国際的に低位に落ち込んだと指摘されていますが、白書は、労働生産性と賃金の伸びを比較することで、日本の異様さを示しています。
 労働生産性は労働者が付加価値を生み出す力のこと。この伸びに沿った賃金上昇が望まれますが、日本は近年、労働生産性が上昇する半面、賃金は横ばい、または低下しています。特に資本金10億円以上の大企業にこの傾向が強く表れています。
 この背景について、白書は第一に「企業の内部留保(ため込み利益)の増加」を挙げました。1996年に約150兆円だったのが、21年には約500兆円にまで増加したのです。約半分を資本金10億円以上の大企業が占めています。有価証券は96年から4倍以上増え、350兆円を超えています。
 2000年代の戦後最長の好景気をはじめ、10年代以降の円安に伴う史上最高益も、設備投資や人件費に回さず、マネーゲームに費やす一面が見て取れます。
 労使の力の不均衡
 白書は第二に、「労使間の交渉力の変化」を指摘しています。労働組合の組織率は、89年の25・9%から22年には16・5%にまで低下しました。
 他方、少数の企業が労働市場を独占する傾向が進みつつあり、これらの企業が賃金を抑制する強い交渉力を持つようになったとも指摘します。白書は「労働者の交渉力の強化と、その帰結としての賃金増加という観点から、労働組合の果たす役割は相当大きい」と、労組への異例の〃期待〃を表明しています。
コスト削減政策の帰結
 白書は、パート労働者の急激な増加と、中堅・ベテラン層の賃金低下が、全体の賃金を引き下げた要因とも分析しています。
 旧日経連(現経団連)が95年に策定した経営指針で、非正規労働者の積極活用を打ち出して以降、歴代の自民党政府も労働規制の緩和を進め、〃貧困化〃の流れを後押ししました。
 非正規労働者は92年の958万人から、22年には2101万人に倍増。雇用労働者全体の4割近くに迫ります。 中堅・ベテラン層の賃金抑制も、2000年前後以降進みました。中小下請け企業への原価低減も強められ、経営体力を奪い、現在の苦境に続いています。
労働組合は「数が力」
 堺市職労は引き続き、「全ての職員へ物価高騰を上回る賃上げを」のスローガンをさらに高く掲げ、24国民春闘での大幅賃上げをめざして、官民一体の大きな運動をすすめます。
 労働組合は「数が力」です。未加入の方の組合加入を心から呼びかけます。