堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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何が「危機」に陥れたのか?!今こそ声を大にして言おう「溜め込んだ分を返せ」

2月8日付

春闘で経営側の指針となる経団連の経労委報告は、物価高騰で近年とは状況が大きく異なるとして「賃上げは企業の社会的責務」と強調しています。ところが、従来どおり総額人件費管理の下に、ベアを抑制・分散しようともしています

 

34カ国中24位
 報告は今年で49年目。今年のように「賃上げは社会的責務」とし、「構造的な賃上げ」と「分厚い中間層の形成」は経済界・企業に対する「社会的期待であり、責務である」と踏み込んだのは初めてです。
 かつて1996年に「日本の賃金水準は世界トップクラスで賃上げは不可能」と賃金を抑制し、02年には「ベアは論外」「定昇凍結(賃下げ)」など賃下げも提唱。14年から賃上げ容認に転じたものの、この20数年間はベアを0%台(21年0・12%)に抑制してきました。その結果、日本の賃金水準は21年で経済協力開発機構OECD)加盟34カ国中24位に転落しています。
 しかも12月の物価は前年同月比4・0%と41年ぶりの上昇。一方、11月の実質賃金は3・8%減と4年6カ月ぶりの大幅マイナスです。逆に大企業の内部留保はコロナ禍でも22年9月で505・4兆円と過去最高に増大しています。
 経団連の十倉会長は物価上昇が働き手の生活だけでなく、企業収益にも影響し、「賃金と物価の好循環」がなければ日本経済再生は厳しくなるとの「危機感を強く抱いている」と表明。「企業行動の転換への正念場で絶好の機会」と、49年目の踏み込んだ様変わりの報告を語っています。


散々ため込み危機感も、
なおベア抑制・分散化
 報告は、交渉では「物価動向を特に重視」した積極的な対応を呼びかけています。ところが、交渉の具体的な賃金決定となると、これまでどおり「総額人件費管理」「支払能力」など「賃金決定の大原則」の方針に変わりはないと断定。「多様な選択肢の中から自社の実情に適した方法」を提起しています。
 その結果、賃上げは多様化し、定昇、ベア、諸手当、一時金などに分散。配分も「一律配分」(定額・定率)、「若年社員」「業績・成果の査定配分」など分散し、働く者の「競争力を持った処遇」を強調しています。
 「諸手当」を重視しているのも今年の特徴です。「生活補助手当」「インフレ・物価対応手当」「別居手当」など12項目を挙げました。
 人材育成も重視し、リスキリングを含むリカレント教育(学び直し)に関する受講・自己啓発の費用補助なども盛り込んでいます。人材育成費などは「人への投資」ですが、「給与」とは性質が異なり、人件費に合算させないことが重要となります。
 内部留保については18年から提唱している「人への投資」で今回、初めて「賃金引き上げ」を明記しました。労働組合が主張し続けたことが明記されました。


地域の取組と交渉
 堺市職労としては、民間労働組合と一緒に、堺市産業振興局や堺労働基準監督署との懇談、商店街への聞き取り活動に取り組みます。また、本日決定する春闘要求書に基づき、2回の交渉を開催する予定です。体制の確保などを求めていきます。