堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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「対立」と「分断」を前に想う マーシャル・B・ローゼンバーグ『「わかりあえない」を越える』

2月8日付

 労働組合は、一致する要求を実現するために日々活動しています。
 言うは易く、メンバーそれぞれの認識において高度な一致点を求めるのは、容易なことではないように感じます。一つには、単純に、人と人との間に一致を見出すよりも、違いを挙げる方が、簡単にできるように思うからです。
 労働組合活動を進めるなかで、組織としてさまざまな判断を行う際、ときには意見がぶつかることもあります。
 身近な人の間や、お互いに思い入れがある場合は、相手に与える効果が意識されずに、より対立的な考え方を身に纏って接しているようにも思います。
 本書は、こうした人間が生きていくうえで本来的に抱えている「わかりあえない」という関係性を超えて、思いやりのある与え合いが自然に発生するような、人生を豊かにするつながりをどのようにつくり出せるのかを、提起しています。
 ひとことで言うと、原題(邦訳)の「あなたが次に話すことがあなたの世界を変える」に集約されているように思います。
 価値観の違いや気に入らない行動、果ては人と人が憎しみあう場において、相手を道徳的に批判、中傷、決めつけ、診断するのではなく、メッセージの背後にある感情やニーズにつながろうとすることが強調されています。
 著者は、単に人間関係にととまらず、人びとの、道徳的な判断や決めつけ、懲罰と報酬の正当化、地球上の暴力の根底には、社会の支配構造があるとの世界観を示しています。王様の一部が、多国籍企業や政府という「ギャング」集団に入れ替わったにすぎないと評しています。
 家族と過ごす時間を使ってまで、社会の変化に向けて活動する人たちへの助言も一見です。読書会などで共有したい一冊です。(電車は読書タイム・本部)