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堺ふしぎ発見(6)山崎豊子文化財団

10月18日付

「努力する限り、人間は迷うだろう」(ゲーテ
 9月29日は作家の山崎豊子さんの没後10年でした。2013年、山崎豊子さんは堺市内の病院で息を引き取り、浜寺の自宅に帰られました。
 山崎さんの秘書を52年間務めた経験を綴った「山崎豊子先生の素顔」(野上孝子著 文春文庫)を読み、その足跡を振り返りました。
 山崎さんは相続した土地に上物を建て、浜寺に住んでいました。
 山崎さんの作品の舞台は、生まれ育った船場から、やがて「白い巨塔」「華麗なる一族」「不毛地帯」と関西へ、「二つの祖国」「大地の子」「沈まぬ太陽」「運命の人」と世界へと大きく広がりました。戦争を問いかけ、世界各地を徹底取材し、生み出し続けました。
 「ご霊前に謹んで、最後のお別れを申し上げます。私は高校、大学と、山崎豊子文化財団の奨学生の2期生として、お世話になりました。先生から戴いたものは、ただ経済的な支援だけでなく、日本で生きていくための勇気や自信といった、心の支えでもあります。私たちは先生の作品の『大地の子』の孫たちです。先生は私たちを認め、受け入れてくれました」(元奨学生の弔辞)
 『大地の子』で、多くの戦争孤児に取材し、そのあまりに過酷な体験に涙した山崎さん。幼い背に戦争の罪業を背負わされた彼らこそが犠牲者だと考え、この子たちが日本に帰国した際、力になれるようにとの思いで93年10月、「山崎豊子文化財団」を私財を投じて設立。現在でも財団は、中国戦争孤児や日中友好に寄与する学生に奨学金を給付しています。
 冒頭は、山崎さんが色紙に記した言葉。野上さんは「迷いが生じるのは、絶えず努力しつづけているからだ」と振り返りました。