4月15日付
定年退職年齢の引上げが、2023年度から始まります。早急に議論を深め、働きがいのある制度構築を当局に求めていきましょう。
多岐にわたる課題
23年度中に60歳になる職員への説明や制度移行の準備期間も必要ですから、どんなに遅くとも今年の9月議会で条例案を可決させ、早急に対象者に説明がなされることが望ましいと言えます。
昨年12月28日に、総務省自治行政局から各都道府県・政令都市・人事委員会宛てに「定年引き上げに伴う条例及び規則等の整備の概要について」(以下「整備の概要」)と「質疑応答(第3版)」が発出されました。制度化にあたり、いよいよ本格的な定年引上げ交渉の開始です。
「整備の概要」では、60歳を超える職員の給料月額を7割とするよう、一律の対応を押し付けています。7割の根拠は「国並み」としていますが、管理職で定年を迎える職員が多い国家公務員と、一般職で定年を迎える職員が多い地方公務員では事情が違います。
さらに、「60歳前後の給与水準が連続的なものとなるよう検討」とされており、これは若い人たちが現行60歳時の賃金水準に到達しないことを意味します。
定年に関わる労働条件 全世代で関心高く
昨年、自治労連愛知県本部では、定年引上げに関する意識調査アンケートを行いました。「60歳を超えても働き続けられるか」の設問に対し、「はい」と答えたのは全体で24%、「時間が短ければ可能」23%、「いいえ」が14%、「どちらともいえない・わからない」が最も多く39%となりました。保育士・看護師で「はい」と答えた人はそれぞれ6%、10%ときわめて少ない結果です。働かなければ年金支給まで無収入になってしまいますが、体力的な問題や家庭の事情などで働けないことに加え、給与の大幅低下が影響しています。
現に「60歳時の給料の『7割』に下がることをどう思うか」の設問(複数回答)に対しての回答率がそれを反映しています。「高すぎる」がわずか1%、「十分だ」「適正だ」が合わせて20%に留まった一方で、「少し低い」「低すぎる」「不公平だ」の声が68%と多く集まりました。それまでの収入からの大きな低下が働きがい、他の職業への転職にも大きく影響し、人材の流出にもつながりかねません。
全組合員で集約・交渉
堺市の現在の再任用制度では退職時の職階が課長補佐級以下の場合は1級(月例給237,500円)、課長級の場合は2級(同258,000円)、部長級の場合は4級(同293,900円)に位置付けられるのが一般的です。再任用4級は「副理事、課長、参事、総括参事役又は参事役の職務」と規定されますが、標準的に一般職員から副主査に昇任する前後の給料と同等であって、役職と給料が見合ったものとは到底言えません。
定年引上げ、再任用制度は堺市に長く安心して働き続けるために充実することが大変重要です。
新規採用者を含めた全世代の問題であり、全組合員の議論と意見集約が必要です。すでに1月27日に要求書を提出していますが、さらに議論を深め、働きがいのある制度構築を当局に求めていきましょう。