8月6日付
大阪市役所労働組合(大阪市労組)との組合事務所に関する団体交渉を拒否したことを不当労働行為と認め団体交渉に応じるよう命令した大阪府労働委員会の2019年1月の決定を不服として、大阪市(当時の吉村市長)が府労委命令の取り消しを求めた訴訟で、大阪地裁は7月29日、大阪市の請求を棄却し、不当労働行為を断罪しました。大阪市労組は、被告となった大阪府労働委員会の補助参加をしていました。
組合事務所は
活動の基盤!
市役所庁舎内にスペースを供与し、継続を前提とした合意がされてきた組合事務所について、市側は「管理運営事項にあたる」との主張を繰り返してきました。
大阪地裁は判決で、憲法28条と労組法では、労働条件等に関する団体交渉を円滑に行うための基盤となる事項も団体交渉事項になり得るとしたうえで「組合事務所は組合活動の基盤となるもの」と指摘しました。管理運営事項との大阪市の主張についても、約20年間にわたって市庁舎内にスペースを供与し、継続を前提とした合意がされていた中で、2012年に短期間で退去を言い渡された事実を示して、組合の団体交渉の申し入れには組合が被る不利益の回避や代替措置についてなど、団体交渉を円滑に行うための基盤となる事項が含まれていると指摘しました。
大阪市は、団体交渉の対象となる可能性のある事項を具体的に確認するなどで交渉可能事項かどうかを確認するべきだったとし、団体交渉の拒否にあたると認定しました。
また、便宜供与を禁じている労使関係条例の下であっても団体交渉に応じない根拠にはならないと判断しました。
大阪市は直ちに
団体交渉に応じよ
大阪地裁は、以上の点を踏まえ、市の対応は「誠実な交渉態度といえない」「労働組合を軽視し、弱体化させる行為といい得る」として断罪し、市の請求を棄却する判決を言い渡しました。
判決後、大阪市労組は今回の判決について、直ちに記者会見を行い「声明」を発表しました。そこで、井脇大阪市労組委員長は「当たり前のことが、当たり前として認められてうれしい。大阪市は控訴せず、裁判所の判断に従い、直ちに団体交渉に応じてほしい」と訴えました。