組合事務所の使用を認め、控訴するな
(9月12日付)
9月10日、大阪地方裁判所は、橋下市長が大阪市役所労働組合(大阪市労組)及び大阪市労働組合総連合(大阪市労組連)が大阪市庁舎地下1階において06年以降継続的に使用してきた組合事務所について、12年度以降その使用を不許可とし、同事務所の明渡を求めた事件で、14年度の不許可処分を取り消して、使用許可処分を義務づけるとともに、国家賠償請求を認容する全面勝訴の判決を言い渡しました。
判決は、大阪市が不許可理由として主張していた市庁舎のスペース不足という点については、必要性があったとはいえないし、また労働組合が庁舎内で違法な政治活動を行うおそれを払拭ということですが、違法な政治活動として指摘されていたことと組合事務所が市庁舎内に存在することとの関連性はなく、組合事務所において政治活動が行われる蓋然性が高いとはいえないとして、いずれも排斥しました。
その上で、橋下市長が組合事務所の明渡を求めるよう方針変更をした後に、労働組合等と交渉をせず、職員の団結権等を侵害するおそれがないか否かについて十分な検討をしたと認められないとして、労働組合に対する団結権侵害の意図を認定し、市長の裁量権を逸脱・濫用したものであり、違法と判断しました。
また、12年8月1日に施行された労使関係条例12条(労働組合等に対する便宜供与の禁止)を適用することにより、労働組合法7条の不当労働行為に該当し、あるいは、憲法28条の団結権の保障を侵害することになる場合には、無効となるとして、組合事務所の使用不許可を適法とするものではないと判断しました。
その上で、判決は直近処分である14年度まで、職員の団結権等を侵害する意思が継続してあったとして、14年度の使用不許可処分を取り消した上で、橋下市長に対し、両組合に組合事務所の使用を許可するよう義務付け、さらに各33万円の国家賠償を命じました。また、大阪市の事務所明渡請求訴訟については、権利の濫用であるとしてこれを棄却しました。
本判決は、司法により初めて橋下市長の労働組合攻撃を違法と断罪し、労働組合の拠点である組合事務所の継続使用を認めた点に最大の意義があります。
大阪府下の自治体においても、橋下市長の手法に触発され、組合事務所や組合費のチェック・オフ等労働組合への便宜供与を安易かつ一方的に剥奪し、それまで構築してきた労使関係を破壊する同様の不当労働行為が頻発していますが、これに対し司法による歯止めとなるべき内容となっている点でもその意義は大きいといえます。
大阪市・橋下市長が,司法によって厳しく断罪されたことを真摯に受け止め、本判決を控訴せずに受け入れるなどの大阪市長あて「大阪地方裁判所の判決に従い、組合事務所の使用を認めるとともに、控訴しないことを求める」要請書」に取り組みます。ぜひご協力をお願いします。