人員体制、時間外勤務、任意健診、再任用制度など厳しく追及(11月9日付)
5日、秋季年末一時金等要求書に基づく、第1回団体交渉を開催し当局の考えを質しました。
はじめに、交渉に臨む基本姿勢について、「労使の信頼関係は、市政を円滑に運営する上で欠くことのできないもの」であり、自主交渉、市民理解が得られる形で労使合意すること、使用者責任を果たす立場を確認しました。
【要求書の受け止め】
10月30日に提出した「2020年秋季一時金等要求書」の受け止めについて当局は「要求書に掲げられている項目は、どの項目も職員の皆さんの思い。内容を精査し、何ができるのか考えたい」と述べました。
組合 コロナウイルス感染症が収束しない中、この間の職員の働きぶりについて、当局としてどう評価しているか。
当局 出勤抑制や感染拡大防止対応、他所属への応援など、平時とは異なる対応が求められる中、職員の皆さん方はよく頑張っていただいている。
【人勧の取扱い 職員はせめて「据え置き」】
組合 一時金について、11月2日に人事委員会から期末手当0・05月引下げの勧告が出されたが、どう受け止めているか。
当局 民間との給与比較に基づいて示されている人事委員会勧告は重いものである。
組合 組合アンケートでは「感染リスクある中市民対応した」「出勤抑制しながら業務継続した」ことからせめて「一時金は据え置くべき」との声が示された。生活実態からは引上げが求められている。
【人員体制 体制確保責任を果たすべき 育休代替の拡充を】
組合 マイナス勧告となったが、コロナ禍のもと頑張っている職員に対し、当局としてどう応えるのか。とりわけ、コロナ対応で業務増の職場や、コロナ関係で応援を出している職場の体制について、どう考えるのか。
当局 応援を出した所属をはじめ、職員には負担をかけている。要望があった所属に対しては会計年度非常勤職員を任用して体制を確保しており、今後も所属から相談があった場合には適切に対応したい。また、保健師の体制確保に向けて、次年度の採用選考を進めている。
組合 会計年度任用職員確保というがそうはなっていない。こども園では、募集しても集まらないため、朝夕や日中職員の欠員が生じている。正規職員の配置が必要な部署は正規職員を配置すべき。
組合 育児休業正職代替について、これまでも正職代替職員の増や対象職種の拡大について求めてきたが、次年度に向けて更なる努力の余地がある。
当局 来年度は、試行的な取組みとして、一般事務として育児休業者の代替職員5名程度の運用が実施できるよう体制を確保していく予定。人数については、今後、育休者の推移も見ながら必要な対応について検討する。職種については、育児休業者の多い一部の専門職では、年度途中であっても柔軟な対応ができる任期付職員の採用で対応。また、毎年定年退職者が出るわけではない職種は、正職代替を配置した場合に加配になるケースが発生する。職種ごとの代替手法が可能か引き続き検討したい。
組合 保健師、保育教諭、社会福祉職等については任期付職員で対応しているが、今年度現在の時点での育休者への充足状況はどうか。
当局 令和2年11月1日時点の育児休業者数は44名で、任期付職員の任用数は26名。任用時期や休業期間によっては会計年度非常勤職員の任用等で対応。今年度も採用試験を実施する予定。
組合 半分しか、任期付職員で代替できていないということ。「柔軟」というが、全て任期付職員では埋められていない。感染症対策を行う職員の実態がこれで良いのか?任期付職員任用と併せて、専門職も正規職員代替をすすめるべき。
【時間外勤務 適正把握と体制面の措置を】
組合 コロナ禍もあり、時間外勤務が増加する中、その抑制措置がサービス残業に繋がっているとの声がある。労働時間の適正な把握に努める必要がある。
当局 これまでもお答えしてきたように、サービス残業や持ち帰り残業はあってはならない。職員の労働時間を適正に把握するよう、引き続き機会を捉えて、管理職に周知したい。
組合 8月の交渉でも指摘したが、コロナウイルスへの対応で、過労死ラインを超える時間外勤務を行っている職員がいる。今年度、産業医による面接指導の対象となる長時間労働を行った職員は、全庁でどの程度いるのか。
当局 長時間労働による健康障害防止のための面接指導対象者数は、令和2年9月実施分実績で223人。
組合 過労死ラインを超えている職員がいることは問題。
当局 ご指摘のような長時間労働で、過労死との関連性が強まり、健康障害が生じるおそれがある。体制面で是正が必要であれば是正していくとともに、産業医面談をはじめ、今後も職員の体調管理を適切に進めていきたい。
【任意検診 希望者全員が受検できる措置を】
組合 今年度、人間ドックや任意検診(がん検診)の受検を希望しても、受けることができない者が多数生じている。職員の安全、健康管理が一番大事。希望者全員が受検できるよう必要な措置を。
当局 今年度の任意検診については、例年よりも多くの申込をいただいたため、ご希望に添えない方が多くなった。今年度の要因を分析するとともに、各自治体においても住民向け検診が実施されている中で、職員の健康管理、安全を守るためにどういった対応ができるか引き続き検討してまいりたい。
組合 落選通知を受けた本人からは「びっくりしたし、不安だ」との声を聞いている。こども園保育教諭は、共済組合の制度上、人間ドックを希望しても落選することもある。国を挙げて受検率向上を求めている状況。直ちに改善を。
【不妊治療と仕事の両立の検討を】
組合 都道府県や政令市の一部で、不妊治療のために病気休暇や特別休暇を取得できるようにしているところもある。不妊治療と仕事の両立を支援する観点から、当局としてどう考えるか。
当局 人事院勧告でも、不妊治療と仕事の両立について、人事院として必要な取組の検討を進めるとされており、国においても検討を進められていると認識している。本市においても、人事委員会勧告で同様の勧告を受けており、国の動向を注視しながら、その上で必要な対応を検討したい。
【再任用職員の処遇改善を】
組合 再任用職員については、常勤職員と変わらない業務を行っているのに対して、その賃金水準が見合っていない。
当局 本市の再任用職員の給与水準については、他の政令市と比べて著しく低い状況にはない。国で審議中の定年延長に合わせて、現在の再任用制度の見直しも必要になると考えているので、国の動向を見極めたい。
組合 人事院は再任用職員の賃金水準としては、常勤職員の7割程度と示している。堺市の現状は、3級最高号給から再任用堺市1級格付の場合、基本給は62・5%。補佐級・係長級から一般職員に格付けされる再任用職員の下げ幅はさらに大きい。
当局 再任用職員の給与水準については、職務給の原則に従い、再任用職員の皆さんに担っていただく職務に鑑みて、国の2・5級相当(堺市1級)をベースとしている。
組合 再任用は本格的な職務に従事している。職務給の原則に照らしても納得いかない。そもそも年金無支給期間が発生するなど制度設計時と状況が変わっている。決着日までにどう改善するのか示していただきたい。
【人事評価 年一回に変更したい】
組合 人事評価について、今年度から会計年度任用職員の人事評価も実施が必要となる中で、事務負担の軽減が必要。多くの被評価者を抱える1次評価者の負担が特に大きい。以前から要望しているが、何らかの負担軽減策が必要だ。
当局 会計年度任用職員に係る人事評価が今年度より新たに生じる。次年度より人事評価の通年化実施に向け検討しているが、評価者の負担軽減にもつながる。
組合 あらためて、人事評価の通年化について、趣旨及び目的を示してもらいたい。
当局 人事評価制度については、その導入にあたり、その目的である人材育成に繋がる制度となるよう、面談を通じたコミュニケーションやプロセスの評価を重視し、年度途中での評価を取り入れた年2回評価を採用した。
制度導入後、相当年数が経過し、コミュニケーションやプロセス評価の重要性は一定、全庁に浸透、定着した。一方で、年2回の評価については、「組織目標や事業が年度を単位としており、前期の目標設定、評価が難しい」、「実質的な評価期間が各期4か月程度と短く評価が難しい、評価の負担も大きい」といった制度の改善を求める声が多く聞かれる。評価の納得性をより高めるために、通年の年1回評価へと変更したい。
組合 組合アンケートでも、負担感から、年1回化を求める声が多かった。中間面談については、今よりも簡易な方法で実施すべきという声が多かった。
組合 人事評価は、評価期間の問題だけでなく、評価基準も不明確なまま運用されており、広く定着していない。人材育成の制度であるなら、職員が納得できる制度でなければならない。
当局 人事評価の公正性や公平性を向上させるべく、能力評価基準表の作成や、評価・面談についての研修等を通じ、評価基準の平準化及びスキルの向上を図っている。今後も、職員の納得性を高めていくため、意見を広く聴きつつ、随時運用の改善に努めたい。
最後に、堺市教職員組合の吉田委員長が、「コロナ禍で公務労働の重要性が一層示された。職員の奮闘に応える交渉としていくこと」を求め、第1回交渉を区切りました。